「東京から特急が走る盲腸線」またも危機? 水没からの「議論の申し入れ」に揺れる路線の今と昔

JR東日本は吾妻線の一部区間について、今後を協議したい旨を沿線自治体へ申し入れています。近年ではダム建設に際し一部旧線が水没するなど話題になりましたが、さらなる課題が突き付けられている形です。

2004年、2014年、そして今年も訪問

 筆者(吉永陽一:写真作家)は2004(平成16)年と2014年に吾妻線を訪れており、新線切り替え後は2024年、10年越しに現地を訪れました。岩島駅から先の旧線は残存していましたが、ダムによって新道に付け替えられた国道145号が旧線跡を貫いており、痕跡はプツっと途切れています。

 ところが国道145号の脇から旧線路が再び現れ、往時をしのぶかのように線路と架線柱も残り、吾妻渓谷に沿っています。旧線は自転車トロッコ「吾妻狭レールバイク アガッタン」として活用されているのです。

 岩島駅から約3km離れたアガッタン雁ヶ沢駅から、八ッ場ダムサイトのアガッタン吾妻駅まで2.4kmの線路を、3人乗りと4人乗りの自転車トロッコで走行できます。美しい渓谷沿いの線路には橋梁とトンネルも残されており、吾妻線の名物となっていた全長7.2mの日本一短い鉄道トンネル「樽沢トンネル」も通過できます。

 新線は第二吾妻川橋梁を渡って八ッ場トンネルへともぐり、トンネルを出ると川原湯温泉駅(群馬県長野原町)へ到着します。川原湯温泉駅から長野原草津口駅までも長いトンネルが続き、吾妻川を第三吾妻川橋梁で渡ると右から旧線が寄り添ってきて、長野原草津口駅へ到着します。

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築70年は経過していた川原湯温泉駅の駅舎。背後は八ッ場大橋の堂々たる姿(2014年9月9日、吉永陽一撮影)。

 筆者はダムに沈む前の川原湯温泉駅へ降り立ったことがあります。2004年の訪問では温泉街に「ダム建設反対」「ダムに沈む街 川原湯温泉へようこそ」と掲げられ、ダム建設に揺れ動いている空気が伝わってきました。2014年になると温泉街は移転が進み、水没する源泉も新たに掘削。以前訪れた共同浴場「王湯」も閉館し、その源泉は新源泉と新たな共同浴場へ湯を供給するために閉鎖されました。

 川原湯温泉駅は相対式の交換駅で、長野原線の開業時からあるという木造駅舎が出迎えましたが、頭上には竣工直後の八ッ場大橋がそびえており、改めてここは湖底になるのだなと、現実を突きつけられたのを鮮明に覚えています。

【撮り鉄も集った】吾妻線「日本一短いトンネル」をくぐる電車(写真)

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