絶滅近し? 国鉄が「JR北海道と四国のために」つくった車両とは 実は“席だけ新幹線”も!?

廃止間近の留萌本線でも見られる

 対する500番台には多くの改装が加えられました。液体変速機を交換し、台車もボルスタレス式空気ばね台車へと換装。乗り心地が改善されるだけでなく、自重も1t程度減少し、最高速度も110km/hにアップしています。なお野生動物などとの衝突が多い地域でもあり、前頭部強化も行われています。

 接客設備も、和式トイレの洋式化と汚物処理装置搭載が進められます。特に座席については一般形も、JR北海道になった後で特急形キハ183系の座席交換時に発生した簡易リクライニングシートに換装され、車両の中心部に向けて座席を並べた「集団見合い式」となり、テーブルも設置されました。

 花咲線で活躍する釧路運輸車両所の所属車両は急行形と同じく、元0系新幹線の転換式クロスシートに換装されています。また、「ルパン三世」のラッピングが施されたキハ54形522号のみ、交通事故で廃車となった特急形電車789系1000番台から発生したリクライニングシートに換装のうえ、集団見合い式として配置しています。

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新型H100形気動車(画像:写真AC)。

 そんなキハ54形500番台は、H100形気動車の登場で富良野線、石北本線、釧網本線からは撤退し、現在では宗谷本線の一部、函館本線 滝川~旭川間の一部、留萌本線で運用されています。留萌本線は2026年3月の廃止は決まっていますが、キハ54形が今も多く見られる路線です。

 JR北海道では近く引退が始まると思われるキハ54形。最後の国鉄一般形気動車を、今のうちに楽しまれてはいかがでしょうか。

【了】

【写真】え、マジだ 廃車された0系新幹線の座席を備えたキハ54形

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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