昔は庶民向けがクロスシート!? 「ロング兼用席」の進化 見た目フツーの車両が“大変身”!?

ロングシートを回転させてクロスシートにする「デュアルシート」の列車が増えていますが、同様のシートは、実は古い歴史を持っています。ただ「快適な通勤」のためのシートに留まらない、その進化を振り返ります。

初採用は関西私鉄

 現代のようなデュアルシートは1996(平成8)年に、近畿日本鉄道が2610系電車を改造して導入したものが始まりです。この座席は「L/Cカー」と命名され、5800系電車、5820系電車で本格採用されました。2024年10月に登場する新型8A系電車も「L/Cカー」となる予定です。

 JR東日本は2002(平成14)年、仙石線用の205系電車の一部に「2WAYシート」としてデュアルシートを採用しましたが、2015(平成27)年以降はロングシートとして運用しています。2006(平成18)年には京葉線で1編成だけ投入されたE331系に、回転してボックスシートになる「可変座席」が装備されましたが、こちらも普及しませんでした。

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東武50090型電車の「マルチシート」。2022年3月にリニューアルされた(安藤昌季撮影)。

 以上のデュアルシートは料金不要列車の座席サービスでしたが、2008(平成20)年に東武鉄道が導入した50090型電車では「マルチシート」として、通勤時間帯に座席指定料金を徴収する有料座席サービス車両とされました。「マルチシート」は本格的な特急形電車と比較すればリクライニングやテーブルなどはありませんが、座席間隔1000mmとゆとりがあり、混雑時に確実に座れることが歓迎されました。

 デュアルシート車は、休日の日中にはクロスシートモードで行楽列車としても運用できるうえ、クロスシートにする必要がない時間帯はロングシートモードで通勤電車としても走らせられるので、関東大手私鉄としては魅力的な車両でした。

 2017(平成29)年より導入された西武鉄道の40000系電車は、デュアルシートだけでなくフリースペースとなる「パートナーゾーン」や車いす対応トイレ、空気清浄機を備えました。また、座席にはコンセントと座席背面にドリンクホルダーも装備しています。

 この空気清浄機、ドリンクホルダー、コンセントは他社へも普及します。2018(平成30)年より東急電鉄は「Q-SEAT」を導入。新機軸だったのは、編成の一部だけをデュアルシート車にしたところでした。

【懐かし写真】クロス/ロングが混在する国鉄型の通勤電車

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