昔は庶民向けがクロスシート!? 「ロング兼用席」の進化 見た目フツーの車両が“大変身”!?
通勤電車が観光列車に!? 超豪華“デュアルシート”も
同年に導入された京王5000系電車では、有料列車使用時のみ音楽を流すサービスが展開されたほか、2022年には、5737編成よりリクライニング機能が搭載され、快適性が大きく改善されました。リクライニングするデュアルシートは日本唯一と思われます。
京急電鉄も2020年、1000形電車1890番台にデュアルシート車としては初めて、乗務員室の後ろに展望席を設置しました(この部分はクロスシート)。なお、この車両にはデュアルシート車として初めてトイレに男性用小便器も設置されています。
とりわけ異彩を放つのは、しなの鉄道が2020年に導入した「ライナー車両」SR1系電車100番台でしょうか。3扉の20m車としては初めてのデュアルシート導入であり、他社ではロングシートとなっている車端部にもデュアルシートが設置されています。
特筆すべきは、土日祝の有料快速列車「軽井沢リゾート号」です。同列車では、デュアルシートを向かい合わせにしたうえで大型テーブルを設置。軽食サービスも行われます。デュアルシート車なので、座席間隔1000mm程度とJRの特急普通車より広いのですが、先述の通りそれを向かい合わせにして大型テーブルを座席にはめ込んでいるので、JRのグリーン車以上の専有面積を持つ超豪華仕様です。
ただしこの車両、座席によっては進行方向と逆向きになります。しなの鉄道ホームページから予約した場合は座席表が見られますので、注意して座席を選んだ方がよいと思われます。
観光列車にまで進出したデュアルシート。座席位置によっては景色が見にくいなどの欠点もないわけではありませんが、今後どのように進化していくのか目が離せません。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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