80年ぶりの帰国! 国内現存ゼロの「激レア日の丸戦車」里帰り成功 ボロボロだけど「3年後には動かします」
旧日本軍が第二次世界大戦で使用した国産戦車「九七式中戦車改」がアメリカから日本へ返還され、横浜港に到着しました。この車体は、日本国内には現存していない希少なもの。関係者に今後の展望を聞きました。
東京の靖国神社で保存・展示される車体とは明らかに別モノ
2025年3月24日(月)、国産戦車「九七式中戦車改」が横浜港に到着し、日本への里帰りを果たしました。

九七式中戦車は、1938年から1944年までに2000両以上が生産され、第二次世界大戦における旧日本陸軍の主力戦車といえる存在でした。同社は「チハ」とも呼ばれますが、これは「国産の中戦車(チ)で3番目(イ、ロ、ハの順で呼称)に開発された車両」という意味です。
このたび里帰りした車体は、砲塔部分を中心に改良が加えられた「新型砲塔チハ」で、だからこそ名称の末尾に「改」の文字が付きます。このタイプが日本に戻ってきたのは、戦後初となります。
九七式中戦車は戦後、国内に残っていたものはほとんど廃車、もしくは米英ソを中心とした連合国に接収されたため、2025年現在、国内に保存・展示されている車体は東京の靖国神社と静岡県の若獅子神社に各1両ずつ、計2両しかありません。これらも戦後しばらく経って海外から返還されたもので、しかも双方とも新型砲塔ではない、ただの「九七式中戦車」であるため、「新型砲塔」搭載の「改」はこのたび横浜港に到着した車体が唯一になります。
この「新型砲塔チハ」は、もともとはテキサス州の太平洋戦争国立博物館で展示されていたもので、戦時の鹵獲品のため所有権はアメリカ海軍にありました。それをNPO法人「防衛技術博物館を創る会」が国内での展示を行うために交渉して入手。円安と物価高騰により輸送費用は1000万円を超えましたが、クラウドファンディングを通じてその費用を賄うことに成功。無事、日本国内に到着しました。
この車体は、戦時中にアメリカ軍に鹵獲されたもので、性能分析のための調査でアメリカ本国に輸送、その後は射爆場に置かれて訓練の標的として利用されました。その痕跡は現在も残っており、車体各部にその時の弾痕が残っています。また、外見こそ九七式中戦車改の特徴を留めていますが、内部は欠損や破損が多く、現時点ではエンジンをかけることも、走らせることもできません。
前出のNPO法人では、この車体を走行状態にまで戻すレストア(修復)作業を予定しており、将来は御殿場市で建設を目指す「防衛技術博物館(仮称)」での実働展示を計画しています。
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