「デコ助」「カンカン」「ワシントン・チャーリー」…トラックドライバーの“専門用語”いろいろ どんな意味?
長距離の運転をするトラックドライバーは、独特の「隠語」や「専門用語」を使って情報交換を行うことがあります。近年ではこれらの使用は減っているといいますが、こうした暗号化された情報伝達はどうして生まれたのでしょうか。専門家に聞きました。
「隠語」「専門用語」が減りつつある理由
こういったトラック無線がきっかけでドライバーの間で広まっていった「隠語」「専門用語」は近年減りつつあるのではないかとも、島崎准教授は言います。
「私は現役ではないので、今のトラックドライバーの状況を生では知りませんが、最近は無線がほぼ使われなくなり、代わりにLINE通話がよく使われていると聞きます。LINE通話は無線と違い、暗号化されたデジタル通話で他の人に聞かれる心配がないため、隠語は減っているかもしれません。
また、ドライバー同士の『取り締まり情報の共有』とか『勝手な情報交換』に対して、けしからんという風潮もあります。コンプライアンスにうるさい会社ではこういうことを明確に禁止しているケースもあります」(島崎准教授)
ただし、隠語・専門用語を使うかどうかはさておき「トラックドライバー同士で取るコミュニケーション」は、業務上、大いに良いことだともいいます。
「特に良いなと思うのが、仲間のトラックとすれ違う際の情報交換です。トラック同士だとすれ違うのがわかりますから、自分が通ってきたばかりの道の状況……例えば『この先で工事していて車線が規制されている』『雪が降り始めてるから気をつけて』といった生きた情報を教え合うことができます。私個人の経験では、これは一般ドライバーにはない、プロ同士の非常に心強い助け合いだと思っていました。
また、無線がよく使われていた時代は、別のドライバー同士のやり取りの声が、流れている状態も多くありました。このやり取りが、経験の浅い若手ドライバーにとって最高の『教科書』になっていたところもあります。
しかし、無線がなくなった現在では、そういう情報が欠落し『ドライバーの経験則が引き継げなくなってしまっている』とする研究もあります。自分は喋らなくても、ベテラン同士の会話を聞いているだけで、道路の状況判断やトラブルへの対処法が自然と耳に入ってくることは良い勉強になっていたはずです。
また、情報交換が減るとドライバーが孤立するリスクも高まります。もちろん昔から無線を介して⼈⽣相談などをすることはなかったと思いますが、普段のやりとりでそのドライバーの『人となり』を感じ取れば、何かに悩んだ際に『あの先輩に相談してみようかな』といった人間関係も生まれたと思います。
トラックドライバーにとって、そういうセーフティネットは結構重要なものです。なので、隠語・専門用語はさておき、ドライバー同士のコミュニケーションは厳しく制限しすぎないほうが良いだろうというのが、私個人的な感覚です」(島崎准教授)
なお、島崎准教授は2025年10⽉より、運転⼼理と安全リスクなどについて解説するポッドキャスト番組『プロフェッショナルドライブ』を配信しています。元トラックドライバーで交通⼼理⼠、さらに現役の⼤学准教授というマルチな⽴場から、運転にまつわる多彩なトピックを展開しています。https://prodora.jp/
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





陰口もいっぱいあったな…◯◯丸は酷かった
もう無線は懲り懲り