「2人の命」を救うため軍用機100機超が敵地へ! 撃墜されたF-15パイロットを奪還せよ 米軍の壮絶な救出作戦
イラン上空で、アメリカ空軍のF-15E「ストライクイーグル」が撃墜されました。敵地に投げ出された2名の搭乗員を救うため、米軍は100機以上もの航空戦力を投入しました。絶対に兵士を見捨てない、米軍の揺るぎない理念に迫ります。
被害は撃墜されたF-15以上 それでも「大成功」と言えるワケ
そもそも「戦闘捜索救難」は、人命救助にとどまりません。それは国家と兵士のあいだに結ばれた「契約の実践」です。
「生存者がいる限り決して見捨てない」という理念は、しばしば美辞麗句として語られますが、本作戦においてそれは標語に留まるものではなく、具体的な行動原理として確実に機能しました。敵地奥深くにおける味方兵士の救出という、純粋な戦術合理性のみでは説明しきれぬ決断の背後には、この揺るぎない信念が確固として存在していたといえるでしょう。
結果として、2名の搭乗員は無事に救出されました。しかし、その代償は決して軽微ではなかったようです。輸送・救難任務に従事したHC-130Jが2機、さらに軽攻撃ヘリコプターAH-6が失われたとされます(人的被害は無し)。単純な装備価値の比較においては、撃墜されたF-15E、その1機をも上回る損失でした。
それにもかかわらず、この作戦はアメリカ空軍にとって紛れもなく「成功」と評価されるでしょう。なぜなら、彼らにとって最も重要なのは装備ではなく「人」だからです。とりわけ航空機搭乗員は高度な訓練が必要であり、長年にわたる投資の結果生み出される「人財」なので、容易に代替し得ない存在なのです。
また何より、「必ず救出される」という確信は、前線に立つ兵士の心理的基盤を形成し、その戦闘意志を根底から支えています。
F-15Eが撃墜されたこと、そのこと自体は確かに損失には変わりありません。しかし、それに続く救出作戦は、アメリカ軍の本質を最も鮮明に映し出した事例であったと言えるでしょう。彼らは装備を失うことは厭わない一方、人を見捨てることはない。その確信こそが、民主主義国家における志願制という制度のもとで軍務を選択する者たちを支え続ける、持続性と強靭性を担保する最も根源的な動機となっているのです。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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