若者の帰省離れ? 成長が続いてきた東北新幹線に“異変” JR東日本を襲う人口構造の変化
コロナ禍で帰省のあり方が変わり、鉄道利用にも影響が出ているとの指摘があります。しかしその背景には、より根深い世代間の変化と人口減少という構造的な問題が存在しているようです。
新幹線の利用者数は本当に減っているのか?
では実際に、鉄道利用に影響は出ているのでしょうか。年末年始の路線別利用者数から山形・秋田新幹線の推移を見てみましょう。比較対象は年末年始期間が10日間(金曜日始まり)だった2001年度、2007年度、2014年度、2019年度、2024年度、そして直近の2025年度です。なお年末年始利用者は旅行者なども含みますが、割合は一定と仮定して話を進めます。
秋田新幹線(盛岡~田沢湖)は2001年度に9.3万人、2007年度に10万人を記録するも、以降は9.4~9.7万人にとどまっています。山形新幹線(福島~米沢)は2001年度の12.6万人、2007年度の13.5万人から2019年度に14.3万人まで増加しますが、2024年度は12.6万人、2025年度は12.7万人と低迷しています。鉄道対航空機シェア(全国幹線旅客純流動調査)は大きく変化していないので、航空に奪われたわけでもなさそうです。
問題はミニ新幹線にとどまりません。東北新幹線(大宮~宇都宮・古川~北上)は2007年度の178.3万人から2014年度に190万人へ増加しますが、その後は2019年度の200万人までしか伸びませんでした。この間、東海道新幹線は307.5万人から365.1万人、406.9万人、山陽新幹線は156万人から180.4万人、193.9万人へと増加しています。
JR東日本全新幹線の年間輸送量でみても、2007年度は199.2億人キロ、2014年度は209.1億人キロ、ピークの2018年度は237.4億人キロでしたが、2024年度は226.7億人キロ(2025年度計画値は237億人キロ)です。一見、順調に伸びていますが、北陸新幹線の延伸開業効果を差し引くと東北新幹線系統の厳しさが見えてきます。
JR東日本の新幹線は線路容量上、増発が困難であること、天候に左右されやすいことを差し引いたとしても、停滞の背景に人口問題があることは間違いありません。実際、東北6県の人口は2008(平成20)年基準で2019年は9%、2024年は13%も減少しています。日本全体は3%しか減っていないことから見ても、東北新幹線の潜在顧客は減る一方なのが分かります。これは帰省文化の変容以前の、根本的かつ構造的な問題です。
東北地方を例にとれば、コロナ禍以前から人口減少が本格化し、東北新幹線系統の成長は鈍化しつつありました。帰省客の停滞も人口減少の一側面なのは間違いありません。そしてコロナ禍で停滞しているうちに経過した5年で、その変化がさらに鮮明になったというのが真相なのでしょう。
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx





あとは、お金がない就職氷河期がそもそも帰省を控えてるとか