「アメ車が売れない。不公平だ」 米“50年の無茶ぶり”に日本はどう対応してきたか あれもこれも“外圧”で変わった

第二次トランプ政権の発足以降、自動車の貿易を巡る日米間の摩擦が再び注目されています。約50年以上にわたって続く、こうした追加関税や非関税障壁を巡る攻防は、どのように打開されてきたのでしょうか。

「今では当たり前の装備」も外圧で生まれた!

 米国では1940年代より、大気汚染による健康被害が公害として問題視されはじめました。1955年には大気汚染法が施行され、その後、最大の原因は自動車の排出ガスであると研究で特定されました。

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マスキー法のクリア第1号となった初代ホンダ「シビック」(画像:ホンダ)

 そして1970年に大気浄化法改正法(通称「マスキー法」)が制定されましたが、その内容は、当時の技術レベルからすると無理難題というほど厳しいもの。米国ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)や欧州メーカーは猛反発し、マスキー法の実施延期を米国議会に迫ったほどでした。

 しかし、この大きな苦難を逆に味方へ付けたのが日本の自動車メーカーです。まずホンダの初代「シビック」が世界で初めてマスキー法をクリアすると、続いてマツダもロータリーエンジンでクリア。1973年には石油危機も重なり、小型で燃費のよい日本車が、米国内で急速に人気を集めていきました。

 これにより、日本から米国へ輸出される自動車も急増。1975年には年間100万台にも満たなかった対米輸出台数は、1980年には250万台へ迫り、シェアは21.3%まで拡大しました。一方、ビッグ3を中心に米国メーカーの業績は悪化。リストラに追い込まれた従業員らが、日本車をハンマーで叩き潰す「ジャパン・バッシング」も発生しました。

 そこで日本政府と自動車メーカーは1981年、米国への自動車の輸出台数を制限する「自主規制」を導入。また米国政府からの強い圧力もあり、日本から完成車を輸出するだけでなく、米国現地でのクルマの生産も加速化させていきました。

 また、1970年代後半からは、「“非関税障壁”がアメリカ車の対日輸出拡大を阻んでいる」として、新たな摩擦も強まっていきます。やり玉に挙がったのは、日本国内で装着が義務づけられていた保安部品などです。

 なかでも後方確認用のミラーは、すでに欧米ではドアミラーが主流となっていましたが、日本ではフェンダーミラーしか認められておらず、アメリカ車を含む外国車を日本で販売する際は、わざわざフェンダーミラーに付け替える必要がありました。米政府からの要求を最初は拒否していた日本政府も、ついに輸入車に限りドアミラーの装備を容認。1983年には、日本車への装着も認可されました。

 さらに、当時は100km/hを超える速度を出すと「キンコン、キンコン」と、警告音が鳴る速度警告装置を取り付けることも義務でしたが、これも米国から撤廃が求められ、1986年に装着義務が廃止されました。このほかも1980年代~1990年代にかけ、アメリカ車の型式指定の認証簡素化や、輸入車特別取扱制度の創設・拡充、出張検査時の現車持ち込みの省略など、さまざまな非関税障壁の緩和や撤廃措置が講じられていきました。

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