日本の空母だけになぜ? 飛行甲板の端っこから飛び出た「ナゾの耳」の正体 米英にはない独自装備の秘密

旧日本海軍の空母の写真や模型をよく見ると、飛行甲板の後端の左右に、同時代のアメリカやイギリスの空母には見られない「小さな張り出し」が設けられていることに気が付きます。まるで艦に生えた「耳」のようなこの出っ張り、一体何のために存在したのでしょうか。

日本と米英で異なる考え方

 安全で正確な着艦をするためには、車輪を接地させる飛行甲板の左右中央と前後の位置をパイロットが把握することが極めて重要となります。

Large 20260501 01

拡大画像

旧日本海軍の空母「龍鳳」(画像:アメリカ海軍)

 そこで日本海軍は、空母の飛行甲板の後端部分に、赤と白の塗料で縦縞(ストライプ)の塗り分けを施して後端であることを示し、さらにその後端部直前の飛行甲板の左右に、ここが飛行甲板の後端であると確認できるよう小さな張り出し、つまり「耳」を付けたのです。そしてこの「耳」も、状況に応じて赤白の縦縞で塗り分けられました。ちなみに、正式名称は「航空機着艦標識」と言います。

 さらに日本海軍では、艦上機の着艦に際して、パイロットが降下角度を適正に維持できるよう、光のサインで誘導する「着艦指導燈」を開発し導入しました。つまり、飛行甲板の後端を示す赤白の縦縞塗装や航空機着艦標識(耳)と、着艦指導燈の光を組み合わせて、パイロット自身が目視で進入角度と位置を調整するシステムを確立したのです。

 対してアメリカやイギリスの空母では、飛行甲板の後端部に目立つ塗装を施すことはありましたが、主に「着艦信号士官(LSO:Landing Signal Officer)」と呼ばれる誘導員が、両手に持ったパドル(標識板)を振って着艦の進入誘導を行っていたため、日本のようにパイロットが自らの判断のみで進入を調整する必要がありませんでした。

 このように日米英でアプローチの違いはありましたが、日本が採用した「着艦指導燈」の概念自体はその後、イギリス発祥のミラー・ランディング・システムなどを経て発展を遂げ、現代の空母の光学着艦装置として今日も使われています。

【日本唯一!】ドイツ生まれの客船を転用した改造空母です(写真で見る)

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. 記事中の写真を見ても判りません。