「墜落しても減らない」爆撃機の謎 “76機体制”を維持できる秘密が「航空機の墓場」にあった

アメリカ空軍のB-52爆撃機は1962年に生産終了したにもかかわらず、なぜか機数が減りません。その裏には、通称「航空機の墓場」と呼ばれる施設の驚くべき役割がありました。

ずっと減らないB-52の謎

 2026年6月15日、アメリカ・カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で、アメリカ空軍のB-52H戦略爆撃機が墜落しました。

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1992年5月に開催された米ロ空軍交換プログラムでルイジアナ州パークスデール空軍基地に並ぶB-52(手前)とTu-95(中央の2機)、奥はAn-124輸送機(画像:TSGT. FERNANDO SERNA, Public domain, via Wikimedia Commons)

 このB-52ですが、1962年に生産が終了しているため、実動機数は1機減となるはずです。アメリカ空軍は現在76機のB-52Hを保有しています。この機数は冷戦後の核軍縮政策や戦略爆撃機戦力の見直しを経て維持されてきたものです。しかし今回の墜落以前から、事故や故障は発生しています。新規製造がなければ、実動機数は減っていくと考えるのが普通です。ところが76機は維持され続けているのです。

 B-52と同じく冷戦初期に誕生し現在も運用されている「同期」の戦略爆撃機にロシアのTu-95「ベア」があります。こちらも負けず劣らずの長寿機で帳簿上58機現役ですが、実動機数は30機前後ともいわれます。2025年のウクライナ軍による「クモの巣作戦」で、少なくとも7機が破壊されたとされ、1割以上という被害は甚大です。Tu-95は1992年に生産を終了しており同型機の補充は極めて困難です。

 生産終了後も戦力を維持できるB-52と、漸減していくTu-95の違いは何でしょうか。その答えはアリゾナ州のデービスモンサン空軍基地にあります。

 同基地にはAMARG(航空宇宙機整備・再生群)と呼ばれる世界最大級の機材保管施設があり、「ボーンヤード:航空機の墓場」の通称で知られています。しかし「墓場」とはいっても単なる廃材置場ではありません。保管されている機材の多くは、必要になれば再利用できるよう整備された状態で管理されています。このような長期保管手法は「モスボール」と呼ばれます。

 その実例が、B-52H「ワイズガイ(Wise Guy)」の現役復帰です。2016年、グアム島のアンダーセン空軍基地でB-52Hが事故により全損しました。その穴を埋めるためボーンヤードの機体が再生されることになり、選ばれたのがB-52Hシリアルナンバー60-0034「ワイズガイ」でした。長年保管されていた機体を徹底的に整備し、最新仕様へ改修したうえで2021年に現役復帰させたのです。

 こうしてアメリカ空軍は、生産終了から半世紀以上が経過した爆撃機の保有数を維持しているのです。今回の事故による損失分も、損害評価次第では過去のワイズガイと同様に保管機の再生が検討される可能性もあります。

【彼女を大切に...】誰かがB-52Hに書いたメッセージを読む(写真)

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