「夕景と相まって幻想的」 片方の路線が“休止”する津軽平野の私鉄 水田とリンゴ畑を駆ける姿を上空から追う
弘南鉄道は弘前~黒石間の弘南線、中央弘前~大鰐間の大鰐線の2路線が運行されていますが、大鰐線は2028年3月末での休止が発表されました。2021年に空撮した両線の模様をお伝えします。
コロナ禍から生まれた幻想的な電車
さて、弘南線と大鰐線は、地上では微妙な距離があって、一日に行ったり来たりするのは難しそうです。が、空からではあっという間の距離で、弘前駅と中央弘前駅の距離では1分もかかりません。
上空ならではの機動力の良さを活かし、青森空港から平川を越え、一気に大鰐線の石川駅付近へと出ます。その後は戻って弘南線の車両基地が併設されている平賀駅へ。さらに大鰐線へ戻って終点の大鰐駅を空撮し、車両基地のある津軽大沢駅へ。またもや弘南線へ戻り、途中で黒石行き電車を狙います。
文章で表すとピンと来ませんが、津軽平野を行ったり来たり、ジグザグに飛行します。両路線ともに日中は本数が限られるため、上空では効率良く巡りながら、初夏になりつつある弘南鉄道の沿線風景を捉えていきました。
水の張った田園地帯を弘南鉄道の電車がのんびりと走っていきます。まるで、厳しい冬が終わりを告げるかのような幻想的な光景でした。
ところで大鰐線では、りんごや金魚のねぷたで車内を装飾した編成を仕立て、夜間に車内照明を落とし、ねぷたの照明だけで走る「りんごねぷた列車」「金魚ねぷた列車」を、期間限定で走らせています。
きっかけは、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大でした。弘前ねぷたまつりが中止に追い込まれたときに、代替として「金魚ねぷた列車」が考案されました。
滅灯された車内では、吊るされたかわいらしい金魚ねぷたが淡く灯り、幻想的な空間を演出しています。この企画は好評を得て、沿線の別の名産をモチーフにした「りんごねぷた列車」も続いて登場しました。
大鰐線はやがて運行休止となりますが、沿線の足として最後の活躍をしています。直近に運行する金魚ねぷた列車は、2026年7月4日から8月31日までで、土日祝および弘前ねぷたまつり期間中にライトアップ運行され、夜間は照明を落とし、金魚ねぷたの幻想的な車内空間が堪能できます。
Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。





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