今後の運行に期待! 「4社線107.4kmを走破するSL列車」に乗ってみた 所要時間は7時間超え
東武鉄道・野岩鉄道・会津鉄道・JR東日本の4社を直通するSL大樹「土津(はにつ)」。運行当日に乗車し、魅力を確かめてきました。
日光と会津を結ぶ観光周遊ルートの確立を目指す
2026年4月から6月にかけて開催された国内最大級の観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン」。その最後を飾る特別企画として、6月27日と28日に、下今市と会津若松を結ぶSL大樹「土津(はにつ)」が運行されました。大きな注目を集めたこのSL列車に乗車してみました。
SL大樹は通常、東武鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉間12.4kmを片道35分かけて走っています。SL大樹「土津」は下今市から特別に会津若松まで足を伸ばし、野岩鉄道や会津鉄道、JR東日本にも乗り入れ、4社線107.4kmを走行しました。
走行距離は新津(新潟市)と会津若松を結ぶ国内最長のSL「ばんえつ物語」の111kmにあと一歩およびませんが、SLとしては屈指の長距離列車です。
今回の特別運行は、日光と会津を結ぶ観光周遊ルートを確立し、会津エリアの活性化を目指す沿線自治体が設立した「SL大樹等観光列車運行推進協議会」と、鉄道事業者4社の連携で実現したといいます。
ちなみに列車名「土津」は、会津藩の初代藩主・保科正之公を祀る土津神社に因んでいます。旧国鉄会津線の会津田島~西若松駅間をSLが走行するのは1974年以来52年ぶりで、運行前から大きな注目を集めていました。
6月27日に下今市発・会津若松行き、6月28日に会津若松発・下今市行きが設定され、JR東日本びゅうツーリズム&セールスとクラブツーリズムが販売するツアーの参加者を対象とした団体臨時列車として運行されました。
5月から計8往復の試運転が行われており、全区間の運転を担当する東武鉄道の乗務員が、各社で異なる運転取扱を習熟。2日間の特別運行に向けて入念な準備が進められてきたのです。
今回は東武鉄道が旅行業界の関係者やメディア、インフルエンサーなどを対象に実施したファムツアーに参加し、下今市発・会津若松行きに乗車しました。
当日はSL大樹「土津」の運転にあわせて、春日部始発・会津田島行きの臨時特急「スカイツリートレイン」91号が特別に運転されており、首都圏からの送客を意識した異例の対応が取られています。
普段は静かな沿線が熱気に包まれる
下今市~会津田島間は、DL(ディーゼル機関車)+SL+車掌車+客車3両で運転。この区間は野岩鉄道の長大トンネル区間があり、勾配や線路条件、安全面を考慮してディーゼル機関車が先頭で走ります。
客車は簡易リクライニングシートの「スハフ14-5」「スハフ14-501」とボックスシートで展望車を備えた「オハテ12-1」3両でした。簡易リクライニングシートもボックスシート状態となるように向きが固定され、テーブルが設置されていました。
9時33分に下今市駅を出た列車は最高速度45km/hでゆっくりと走ります。車内ではツアー向けの観光アナウンスが入り、地酒や会津エリアの魅力を紹介するカードが配布されるなど、心温まるおもてなしが印象に残りました。
さらに、毎年7月に福島県南会津町で開催される「会津田島祇園祭」の花嫁行列の衣装を着た女性が乗車し、「大樹」の通常運行とは異なる非日常感を感じることができました。会津エリアの歴史や自然、文化を紹介する車内イベントに力が入っており、目的地へ移動するための手段ではなく、乗ること自体が目的となる列車と言えるでしょう。
展望車にある展望デッキは他の号車の乗客も利用できます。車窓のハイライトである湯西川橋梁付近などの大自然や、SLの音や匂いを体感できる点が魅力です。沿線ではSLに手を振る地元住民や、カメラを手にした鉄道ファンが多数見受けられ、車内から歴史的な盛り上がりを感じることができました。
会津田島では機回しと給水作業のため、2時間18分も停車します。ここでは駅前特設ステージで記念セレモニーが開かれ、SL大樹「土津」の専用ヘッドマークが初披露・除幕されています。また、マルシェも実施され、普段は静かな駅が大いに賑わっていました。
会津田島から会津若松まではSL+車掌車+客車3両+DLの編成になり、SLが先頭で走行。芦ノ牧温泉駅で給水作業のため28分停車し、終点の会津若松には16時53分に到着しました。
全区間の所要時間は7時間20分におよびますが、車内や途中駅でのおもてなし、変化に富んだ車窓など、汽車旅の魅力を存分に楽しむことができる列車でした。
現時点ではSL大樹「土津」の今後の具体的な運行予定は発表されていませんが、継続的な運行を望む声もあがっています。日光と会津を結ぶ観光周遊ルートを担う列車として発展していくのか、今後の動向が注目されます。





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