浜松発車の「サンライズ瀬戸・出雲」次の駅は400km先の姫路? 時刻表に出ない運転停車
「ミス能生」まで出迎えた特急「白鳥」、しかし…
ところで、運転停車といえば新潟県糸魚川市にある国鉄(現・えちごトキめき鉄道)の能生駅で、これにまつわる珍事が発生しています。
かつて能生駅は国鉄北陸本線の駅で、停車するのは普通列車だけでした。ところが1961(昭和36)年のダイヤ改正で、北陸本線を経由して大阪~青森・上野間を結ぶ特急「白鳥」が運行されるようになったとき、能生駅に掲示された時刻表に、大阪行き上り「白鳥」の時刻が書かれていたのです。
というのも、北陸本線のこの区間は当時単線で、多くの駅に行き違い設備がありました。上りの「白鳥」は能生駅で下り「白鳥」と行き違うため、運転停車するダイヤになっていたのです。運転停車ですから同駅は通過扱いとなり、時刻表に時刻が書かれることはありません。しかし、時刻表を作った部署の“勘違い”で、能生駅の時刻表に特急停車時刻が書かれてしまったのでした。
これに驚いたのが、地元の人たちです。先述したように、これまで普通列車しか停車しなかった能生駅に特急が停車するというのですから、まさに一大事と騒ぎになります。一番列車を地元の人たちが浴衣で出迎え、急きょ選ばれた「ミス能生」が、「白鳥」の乗務員に花束を贈呈することになりました。
そして迎えた運行初日。行き違いのため能生駅に停車した上り「白鳥」は、大勢の人々から熱烈な歓迎を受けます。乗務員はなんだかよく分からないまま花束を渡されましたが、その理由を知る由もありません。もちろん列車のドアは開くことなく、数分後に下り「白鳥」が通過すると上り「白鳥」も発車。後には、呆然とした地元の人々が残された……ということです。
その後能生駅は、1982(昭和57)年に特急「北越」が停車するようになり、正真正銘の特急停車駅になりました。2003(平成15)年ごろには再び普通列車しか停車しない駅になったものの、現在も待避線がある駅構造になっていて、かつての雰囲気を感じ取れます。
【了】
Writer: 伊原 薫(鉄道ライター)
鉄道ライター。乗り鉄・撮り鉄のほか、鉄道旅で酒を楽しむ「飲み鉄」や列車を貸し切って遊ぶ「借り鉄」の普及に勤しむ。最近は、鉄道と地域の活性化アドバイザーとしても活動中。好きな発車メロディはJR北千住駅。
あくまで国鉄時代の話ですが「降りる駅近いから」と車掌に無理言って運転停車中に下ろしてもらった乗客がいたとかいなかったとか……。
なおどこぞのアーバンネットワークでは対私鉄攻撃兵器でもある無料(なんか一部列車には増収のため指定席料金が設定されたそうな)の高速列車を時間通りに走らせるために運転停車した特急列車を退避させる光景を冬の間、たまによく見かけます(今シーズンは見たことないってか雪降らないね……)。
種村氏の本にそんな記述があったような。。。
氏も援護射撃をして。