「着席列車」だけじゃない鉄道会社の着席サービス「二区間定期券」の工夫と各社の思惑

東武は「二東流」定期券 小田急は遠方ほど割安に設定 その狙いは?

 西武池袋線とともに、地下鉄有楽町線、副都心線と和光市駅を結節点として直通運転を行っている東武東上線にも、同様の二区間定期券「二東流(にとうりゅう)」が存在します。ただ、こちらの発売額は、東上線発駅から東武池袋駅までの定期運賃と、東京メトロ和光市駅から東京メトロ線着駅までの定期運賃を合算した金額で、西武の「だぶるーと」のような割引はありません。

 東武東上線は2008(平成20)年から池袋駅始発の着席列車「TJライナー」を運行しており、利用状況は好調です。東武の公式サイトでも「二東流」の利用例として、帰宅時は「TJライナー」でらくらく帰宅という案内をしていますが、「二東流」の割増運賃とライナー券、両方の負担はなかなかハードルが高く、現時点では二区間定期券の位置づけは、西武ほど明確にはなっていないようです。

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「二東流」では、和光市~池袋間で、東武東上線と地下鉄線の両方が利用できる(国土地理院の地図を加工)。

 小田急電鉄も、地下鉄千代田線直通ルートと本線ルート(代々木八幡~新宿間)の両方を利用できる「二区間定期券」を設定しています。ただ、こちらは「だぶるーと」とは位置づけが若干異なり、平日は千代田線方面に通勤している人が、休日は新宿に出てショッピングや食事を楽しむといったような利用方法を想定しているようです。

 追加運賃は駅によって異なり、神奈川県内にある海老名駅や本厚木駅の場合は500円程度と割安に設定されているため、新宿駅を月3回程度利用すれば元が取れる計算です。

 これほど割安なら、「二区間定期券」を通勤に活用するという選択肢もあるでしょう。千代田線から小田急線へ直通する特急ロマンスカー「メトロホームウェイ」が夕・夜間には1時間に1本、設定されていますが、海老名駅や本厚木駅まで利用する場合、700円以上の特急料金がかかります。そこで、夜は新宿駅まで出て、始発の快速急行や急行で帰宅するというわけです。メトロ線内の乗り越し運賃は別途かかりますが、特急料金よりも安く着席でき、本数も多いのが魅力です。

 こうした特殊定期券は、居住地やライフスタイルによって使い勝手が変わるため、誰にでもおススメできるものではありませんが、活用できるなら鉄道利用の選択肢が広がることも事実です。

 鉄道各社には今後も、これまでの定期券の在り方にとらわれない、新たなチャレンジを期待しましょう。

【了】

【図解】使い分けが可能「二区間定期券」とは

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

東京メトロ勤務を経て2017年に独立。江東区・江戸川区を走った幻の電車「城東電気軌道」の研究や、東京の都市交通史を中心としたブログ「Rail to Utopia」を中心に活動をしている。鉄道史学会所属。

 
    
 
    

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コメント

1件のコメント

  1. 長野だとバスで似たような扱いあります。長野電鉄の鉄道とバスで、特殊共通定期券(通勤・通学)持ってると同一区間限定でどっちでも乗れる。
    https://www.nagaden-net.co.jp/info/ticket/