バブル期“究極の寝台列車”どんだけすごかったか! 伝説の24系客車「夢空間」
ところで、おいくら万円…?
2両目のラウンジカー「クリスタルラウンジスプレモ」は「知的遊空間」というコンセプトで、松屋が手がけました。デコラティブな意匠の下がり天井や、飾り窓を備えた豪華な内装で、バーカウンターもあります。また自動演奏ピアノも備えられていました。ただ、ラウンジカー内には共用シャワー施設がなく、「北斗星」に連結され「夢空間北斗星」として走る際は、シャワー施設を備えたロビーカーも別に連結されていました。
展望食堂車「ダイニングカー」は「機能性と貴賓、優雅さ」をテーマとし、東急百貨店が手がけたものです。列車の最後尾に連結されることを前提に、高さ1.2mの大窓を備えた眺望抜群の食堂車でした。
VIPを想定した個室席が設けられていたのも特徴でした。ただ、厨房からは「個室が邪魔して、食事をしている乗客のコースの進み度がわかりくにい」など、使いにくい部分もあったようです。なお、厨房に揚げ物用の「フライヤー」や焼き物用の「サラマンダー」を備えていたのも、従来車両との違いでした。ラウンジカーと食堂車は、埼玉の「ららぽーと新三郷」で保存されており、うちラウンジカーには立ち入れます。
※ ※ ※
「デラックススリーパー」の価格はというと、A室の寝台料金は1室6万7280円。それまで最高だった「トワイライトエクスプレス」の「スイート」の5万980円(B室と同額)を大きく上回りましたが、寝台券の予約は困難を極めました。この寝台車は東京・木場のフランス料理レストラン「アタゴール」で保存されており、予約すれば個室内で食事することも可能です。
「夢空間」は、ハード面では国内や世界各地で走る現代の「クルーズトレイン」と比較してもほぼ同等で、登場時では「鉄道史に残る、世界一豪華な鉄道車両のひとつ」でした。臨時列車「夢空間北斗星」などに連結され、2008(平成20)年に、惜しまれつつ引退しました。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
コメント