「銀座線の大減便」歴史振り返れば納得? 100年前から高頻度運転の理由 改良は継続

新型コロナで浮き彫り 特異な銀座線の性質

 そんな銀座線、コロナの影響を受けていない2018年度は1988年度に迫る約115万人の利用者がいましたが、2020年度には約67万人と、42%減少しています。東京メトロ9路線の合計では約758万人から約498万人と約34%の減少なので、銀座線はほかの路線より減少幅が大きいことが分かります。

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赤坂見附駅ホームに設置された発車案内装置。列車がやって来るまでの残り時間が表示される(2018年8月、伊藤真悟撮影)。

 もう少し分解してみると、2018年度から2020年度にかけて東京メトロの定期利用者は29%、定期外利用者は42%減少しました。銀座線は9路線の中で唯一定期利用率が5割を下回るので、定期外利用者の減少の影響を受けやすかったといえます。

 東京メトロは「銀座線は都心部の主要な街を結んでおり、日中のご利用が多かったものの、テレワークを含めた働き方改革、インバウンド需要の低迷などの影響により、都心部の移動減少に大きく作用」しているとして、銀座線の路線の特性上、ラッシュ時間帯以上に日中の減少が著しいと説明します。

 ただ、感染状況が比較的落ち着いていた2021年度第3四半期(10~12月)は、2019年度同期比で定期は31%減と横ばいなのに対し、定期外は21%減と回復傾向にあります。今後、東京メトロの見込みを超えて利用が戻った場合については、「混雑状況に応じた最適なダイヤ改正を適宜実施する予定です」としています。

 言うまでもないことですが、東京メトロは銀座線を「諦めた」わけではなく、浅草駅で進めている折り返し設備と変電所の増設計画は計画通り進めるとのこと。銀座線の「伝統」に則れば輸送需要に応じて運転間隔は伸縮するはずです。利用者が元に戻って、再び高頻度運転を行う日が来ることを願ってやみません。

【了】

【なぜに?】東高円寺駅(丸ノ内線)を通過する銀座線の列車

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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1件のコメント

  1. やっとまともな混雑率になったのに、減らしてどうする。
    乗客は、相変わらす貨物扱いか。