つながる今昔コミケ会場!?「臨海地下鉄」なぜいま具体化 超巨額でも“効果アリ”?
高額な建設費 地下深い駅…
東京の臨海部は都心部から10km圏内にありますが、今までこの間を直接結ぶ大量輸送の交通手段はなかったのです。現行で向かう場合は、東京駅からJR京葉線で新木場駅へ行きりんかい線に乗り継ぐか、JR山手線で新橋駅へ行きゆりかもめに乗り継ぐなどのルートがあります。しかし所要時間は新木場経由で25分程度、新橋経由で35分程度かかってしまいます。
また、東京駅からは都営バスも運行されていますが、東16系統(東京駅八重洲口~東京ビッグサイト)や都05-2系統(東京駅丸の内南口~東京ビックサイト)では35~40分程度かかります。
反面、都心部・臨海地域地下鉄では東京~有明・東京ビッグサイト間が10分程度で結ばれ、所要時間が大幅に短縮されるのをはじめ、乗り換えの解消といった利便性の向上も期待されています。また、バスのように渋滞に巻き込まれる心配がなく、定時性が確保できるという利点もあります。
ただし、東京駅がJR各線から離れた場所に設置されるとみられ、さらに乗り場の位置が地下深くなれば、東京駅での乗り換えが負担となるかもしれません。
ほかにも課題として指摘される事項はあります。建設にあたっては、都心部を通るために事業費が高額となることが見込まれており、概算事業費は約4200~5100億円とされています。1kmあたりに換算すると700~850億円程度です。ちなみに、東京メトロ有楽町線の延伸区間である豊洲~住吉間の事業費は補助適用で約2690億円(1kmあたり約520億円)、東京メトロ南北線の品川延伸は約1310億円(1kmあたり約520億円)と報道されています。
有楽町線や南北線の延伸の事業費と比較しても、1kmあたりの費用は1.4倍以上となる見込みです。それでも、都心部・臨海地域地下鉄では、建設費用と社会的効果の比率である費用対効果(B/C)は1以上で、社会的効果が上回ると見込まれています。しかしながら、開業からしばらくは厳しい経営が予想されます。
【了】
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
臨海地下鉄よりも京急の豊洲延伸を検討したらどうなんだ。品川区や京浜地域から晴海や豊洲に行くには、りんかい線を使うか、新橋や汐留までいったん北上しなければならない。そもそも豊洲から
泉岳寺や品川止まりなど都営浅草線に直通しない快特や各駅停車などをそのまま延長すれば済むだけの話。
豊洲や晴海から乗り換えなしで品川や横浜、羽田空港に向かう路線できれば、相鉄東急、なにわ筋線、阪神なんば線なんかよりもはるかに費用対効果の高いドル箱路線になることは確実である。豊洲は有楽町線に隣接できるし、品川や泉岳寺(両駅とも改良工事決定済み)は既存の京急の駅がそのものが活用できるので、1㎞あたりの工費は臨海地下鉄に比べたら安くなるはず。