何が違うんですか!?「F-22とF-35どっちが強いか」米軍パイロットに聞いてみた「スマホと同じですよ」

F-22すでに運用は下り坂 今後はF-35が主軸に

 ディキンソン少佐のコメントによれば、F-22「ラプター」とF-35「ライトニングII」の能力には明確な違いがあり、そこに優劣をつけるのではなく、両者がどう協力すれば相乗効果を図れるのか、そこを考えているといった感じでした。最後には「私自身がF-22のパイロットを続けた上で、新しいF-35のコミュニティーにも関わっていき、彼らと共に第五世代戦闘機の世界を体験していきたいと思います」とまで付け加えていたほどです。

 ただ、パイロットからは愛されているF-22ですが、戦闘機の運用としては最盛期を過ぎて晩年に向かいつつあるとも言えます。F-22の最初の機体が配備されてからすでに20年近く経っており、第五世代戦闘機と呼ばれてはいるものの、決して最新鋭の機体ではありません。老朽化による運用コストの上昇も深刻で、2020年にアメリカ国防総省が発表した資料によれば、F-22の1時間あたりのコストは4万385ドル(約588万円)にもなっており、これはF-35Aの1万6952ドル(約246万円)の倍以上です。

 すでに後継機となる第六世代戦闘機の開発も始まっていることから、F-22は2030年代から段階的に退役していくと言われています。

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アメリカ空軍のF-35A「ライトニングII」戦闘機(布留川 司撮影)。

 一方のF-35については、現在も生産が継続されており、増産効果によって生産・運用コストも徐々に低減しています。日本に限ってみても、F-35は対空戦闘と対地攻撃の両方が行える優れたステルス戦闘機であるため、そのような汎用性に長けた高性能機が入手できたメリットは大きかったはずです。

 また、それだけでなく、今後の戦場では必須となるネットワークを活用した戦闘にも対応できるようになります。加えて、国際的な安全保障の面でも、運用しているのがアメリカのみのF-22と異なり、F-35はすでに多くの国で導入されているため、それらの国々とノウハウの共有や円滑な防衛協力が可能になることから、日本にとっては戦闘機として以上の多くのメリットがあったとも言えるでしょう。

【了】

【翼折れるステルス機】艦載機型「F-35C」空母での運用シーンをイッキ見(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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