貴重な現役「鉄道連絡船」に乗る 国鉄時代の生き残り “JRらしさ”たっぷりの体験とは

3月の平日は外国人が多く乗船

 1階は車いすでも利用しやすいバリアフリールームや、観光客向けの座席が並ぶ客室です。わずか10分の航路ですが、男女トイレとバリアフリートイレもあります。2階はガラス張りで転換式クロスシートが並びます。初めから船の前半分と後ろ半分に向けられており、座席を向かい合わせにする乗客はほとんど見られません。客室の外にはベンチも備わります。3階は吹き抜けで木製ベンチがある展望デッキ。自動販売機も備えられていました。

「ななうら丸」には6台の自動車を搭載可能で、自動車航送も行っています。船の前方と後方がどちらも自動車搭載用として昇降する両頭船であり、自動車やバイクが搭載されていました。

 平日でしたが、利用者は外国人観光客が多数を占め満員に。日本人観光客もいましたが少数派でした。厳島神社が世界遺産として人気を博していることを実感しました。

 日中の便は厳島神社の名所である、海に建てられた大鳥居の近くに寄ってから、宮島桟橋を目指します。小型船ですが、瀬戸内海ということもありほとんど揺れません。展望デッキでは、観光客らが大鳥居へ一斉にスマートフォンやカメラを向けていました。

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世界遺産の厳島神社(2024年3月、安藤昌季撮影)。

 大鳥居を過ぎるとすぐに終点です。下船口に行くと、クルマの乗降口がまだ跳ね上げられた状態で、壁のようにそそり立っていました。到着すると昇降口が降り、徒歩乗船客もそこから降ります。

 終点の宮島桟橋は神社のような優美な建物ですが、「みどりの窓口」そのものの外見をした「JR宮島フェリーきっぷうりば」があります。分社化された現在では、JR線のきっぷこそ買えませんが、鉄道連絡船を感じさせる設備でした。

【了】

国鉄の名残を探せ!? JR西日本宮島フェリーの船内(写真)

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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