タイへ渡った「北斗星」の機関車 トラブル連発の根っこに「整備方針の違い」も “チーム日本”の試練は続く

JR北海道で活躍した寝台特急「北斗星」色のDD51形は室蘭港からタイへと渡り、インフラ工事会社が請け負うタイ国鉄の複線化工事に従事しています。日本の鉄道ファンのサポートで、幾度となくピンチを乗り越えてきました。

メンテナンスに対する考え方の違い

 細かい点ではフィルターの隙間、各所のオイル滲み、清掃不足、配線の汚れなどが確認でき、チ-ム51は補修やレクチャーを繰り返してきました。エンジンそのものは苗穂工場最後の全般検査から10年経過していましたが、両機とも良好です。継続的な支援は2025年も変わらずに実施されており、クラウドファンティングの継続出資者を中心に現地見学会も開催されました。

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DD51形の心臓はDML61Zエンジンを2基搭載。1137号機はエンジン不調のため1基のみで運転した(2025年2月8日、吉永陽一撮影)

 AS社の責任者によると、エンジンについてはオーバーホールするほどの状況ではなく、このまま使用できるとのこと。「しかし……」とチーム51のエンジニアは補足します。

「日本は予防的に部品オイルを替えるが、こちらでは状態が悪くなって交換します」

 DD51に限らず、日本で整備するおおかたの乗り物は決められた期間に検査し、消耗品やオイルを定期的に交換することで故障を未然に防ぐ、いわゆる予防保守が取られています。AS社では、日本のように時期が来たら交換するのではなく、機械の調子が悪くなってから、あるいは壊れてから部品やオイルなどを交換してきました。

 チーム51は経過日数と時間をもとにしたメンテナンスチェックシートを作成。一方、AS社は走行距離に応じてのチェックが欲しいとのことです。これは機械メンテナンスに対する考え方の違いであり、どちらが正しいという二元論ではありません。技術支援では予防保守への理解を促しながら、最適な整備環境を構築する段階にきています。

タイの地で重連を組むDD51 「トワイライトエクスプレス」のHMも!?(写真)

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