「おしゃれな原宿バイクです」…何それ? ヤマハも追撃した “過渡期すぎる原付” どっちもバイク以外に転生したワケ

「HY戦争」と呼ばれたホンダ・ヤマハの熾烈な販売競争が繰り広げられていた1980年、ホンダは「ラクーン」という、それまでのどのジャンルにも当てはまらないような斬新な原付バイクを発売しました。

ラクーン発売の翌月に発売されたヤマハ「タウニィ」

 軟派に見えて走りも意外と侮れないラクーンでしたが、いったい何用のバイクなのか、イマイチ理解されなかった感は否めません。また、ターゲット層だった当時の原宿界隈の若者のなかに、原付で徘徊する人間はそう多くなかったようで、わずか2年で生産終了。遊び心は詰まっていたものの、短命に終わりました。

Large 20260207 01

拡大画像

ラクーンはブルーとレッドの2色をラインナップ(画像:ホンダ)

 その一方、ホンダとしのぎを削っていたヤマハは、ラクーンに対抗するかのように翌月の1980年3月、「タウニィ」というこれまた前例のないミニバイクを発売します。

 ラクーンは「原宿バイク」という触れ込みでしたが、タウニィは「男のソフトバイク」がコンセプトのモデル。「街は小さなク・ル・マがいい」と、ラクーンと同様のタウン向けモデルとしてアピールしました。タウニィはどことなくラクーンに通ずるユニークさのある外観だった一方、コンセプトはタウニィのほうが洗練されていた印象があり、ターゲットユーザーも比較的明快でした。

ラクーンは電動アシスト自転車に。タウニィは…?

 とはいえ、タウニィもラクーンと同様、「原付バイクとしては」1代限りのモデルに終わります。時代の過渡期に生まれた2車でしたが、興味深いことに、どちらも後年まったく違う製品として“転生”を果たしています。

 ホンダが「ラクーン」というネーミングを再び使用したのは1994年。今度はオートバイではなく、電動アシスト自転車のモデル名として使用されました。当然、2台の「ラクーン」に関連する点はないものの、スペルまで同一でした。

 また、ヤマハ「タウニィ」の名前は、なんと電動車椅子のシリーズ名「タウニィジョイ」として復活しています。同シリーズは2025年4月に生産を終了しましたが、元祖「タウニィ」の登場から約45年ものあいだ使われた、息の長いブランド名となりました。

 いずれにしても、1970年代後半から1980年代前半にかけての「HY戦争」期は、ラクーンやタウニィのような珍車的存在感を持ちながらも、実に興味深く愛らしいモデルが多数登場しました。当時のミニバイクのラインナップを見ると、今でもワクワクしたりクスッと笑えたり、楽しい気持ちになる人が多いのではないでしょうか。

【いいなあ、コレ!】これがラクーンに対抗した「男のソフトバイク」です(写真で見る)

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. そうは言っても、ジャンルとしてはいわゆる当時の「アメリカン」だと思うのですよ、ラクーンは。

    この当時、MB(ロードスポーツ)、MT(オフロード)という兄弟車があって、そのバリエーションだったわけだし。

    その尖ったデザインが逆に仇になって一般受けは微妙だった印象。

    ホンダは続いて同市場向けにMCXという、これまた尖ったデザインのアメリカンを投入して、同様の結果を迎えていた記憶。

    当時のアメリカンはおっさんバイクとして人気で、ヤマハRX50が王者、そのフォロワーがスズキGN50でした。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス