ガソリン車と「何も変えてません」 ダイハツ初のEVが“軽バン”になった、もっともな理由 “出遅れ”と言われようとも
ダイハツ工業が同社初の量産BEVとなる「e-ハイゼット カーゴ」と「e-アトレー」を発売しました。ダイハツが軽商用車からEV市場へ参入した背景と、モデルの特徴について解説します。
使い勝手も性能も「変えない、譲らない」
前述のとおり、ダイハツにはビジネスユーザーとの太いパイプがあり、またハイゼットシリーズはこうした層から熱い支持を受けています。ハイゼットのBEV化にあたってダイハツがこだわったのは、すでに支持されているハイゼットの美点を“変えない”ことでした。
最もわかりやすいのは荷室スペースです。e-ハイゼットカーゴは、ベースのガソリン仕様車と同じ最大積載量350kgを実現しており、また荷室の寸法も一切変わっていません。荷物の載せ降ろしに影響のあるフロア地上高もそのまま同じ寸法で、バッテリーやモーターなどを床下に搭載していても、積載性能がまったく犠牲になっていないのです。
「荷室寸法を変えない」ことにこだわった背景には、もちろんハイゼットの積載能力が支持されているという理由もあります。しかし、狙いはそれだけではないとのこと。
軽商用車のユーザー層には、車内に自ら製作した棚を設置して、自身が仕事で使いやすいようにカスタムしている人もいます。荷室寸法や積載性を一切犠牲にしなかったのは、こうしたユーザーがそのままeハイゼットカーゴに乗り換えられるように配慮した結果でもあるのです。
ダイハツがビジネスユーザーに寄り添っていると感じられるポイントは、バッテリーにもあります。ダイハツが今回採用したリン酸リチウムイオンバッテリーは、安全性の高さのほか、時間経過での性能劣化が少ないのが利点です。そのため、1台を長く使用するユーザーにも優しい設計なのです。
加えて、航続距離はWLTCモードで257km、暖房を使用する冬場などでも最低140kmを確保したといいます。ダイハツによれば 、軽商用バンユーザーの8割は「1日の航続距離が100km未満」と回答しているそうなので、これなら大半のユーザーの使用形態に応えることができます。
また、近年はプライベート用のクルマも兼ねて、軽ワンボックスを選ぶ個人事業主も増えています。そうしたユーザーのニーズも掴むため、ダイハツはe-アトレーも展開します。ハイゼットの実用性はそのままに、両側パワースライドドアなど快適装備も充実しており、乗用車としても利便性の高い1台です。
ダイハツは軽商用車市場において高いシェアを持ち、またダイハツ車の購買層の多くもビジネスユーザーです。e-ハイゼットカーゴの登場によって、例えば軽BEVによるラストワンマイル輸送の発展など、ビジネスシーンにおける軽自動車の電動化が進むかもしれません。
Writer: 西川昇吾(モータージャーナリスト)
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体、ファッション誌などで、新車情報からカスタムかー、旧車、カーライフお役立ちネタまでクルマに関して幅広く執筆。自身でのレース活動も行っている。





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