「エンジン2つなら安心」は勘違い!? 戦闘機の「単発vs双発」論争 最新F-35があえて1基を選んだ深い理由
最新ステルス戦闘機F-35はエンジン1基ですが、世界最強クラスのF-15などは2基搭載しています。半世紀以上にわたり続く「戦闘機のエンジンは単発か双発か」という永遠のテーマ。その背後にある国家戦略や運用思想に迫ります。
「余裕」か「コスパ」か? 戦闘機のカタチを決める国家戦略
双発は構造上、必然的に機体サイズは大型化しますが、ゆえにその余裕は燃料や兵装の搭載力へと直結します。長距離侵攻や重武装任務を想定すれば、双発は自然な帰結といえるでしょう。
アメリカ空軍のF-15や、ロシアのSu-27系列はその典型であり、圧倒的な推力と航続性能によって、制空権を奪取するための、いわゆる制空戦闘機としてだけではなく、F-15EやSu-34といった長距離侵攻可能な戦闘爆撃機まで生み出しています。その発展の仕方を見るだけでも、機体サイズの大型化による恩恵はわかります。
対照的に単発は、より小型でシンプルかつ安価に製造できる点に強みがあります。限られた国防予算の中で多数を揃える場合、単発の経済性は無視できません。F-16が冷戦期に膨大な数が調達・配備されたのは、単に性能が優れていたからではなく、同盟国を含め広く供給できる価格と運用効率を備えていたからだと言えます。現代においてもこの傾向は続いており、最新鋭のF-35は単発機です。
結局のところ、単発か双発かという問いは「戦闘機とは何を体現すべき存在なのか」という問題に帰着すると言えます。
単発は効率を、双発は冗長性と持続力を実現し、いずれが正しいという結論はなく、時代と国情に応じて選ばれるべき選択肢なのです。おそらく将来の戦闘機においても、この議論は繰り返されるでしょう。
無人化技術や新たな推進システムが登場してもなお、「リスクを分散させるべきか、それとも機体を極限まで簡素化すべきか」という根源的な問いは残り続けるに違いありません。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





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