米・イスラエルの「斬首作戦」はなぜ即座に成功したのか? 現代空軍に必須の能力「キルチェイン」とは

2026年2月末、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で起きたハメネイ師殺害。過去に米ロも失敗した困難な「斬首作戦」は、なぜ開戦直後に成功したのでしょうか? その鍵を握る現代空軍の情報ネットワークと「キルチェイン」の全貌を解説します

過去に米ロも失敗した「斬首作戦」なぜ今回は開戦初日で成功した?

 2026年2月28日、アメリカとイスラエルが連携してイランに対する軍事攻撃を開始しました。

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イスラエル空軍のF-35「ライトニングII」戦闘機(画像:イスラエル空軍)

 本作戦の主力は地上部隊ではなく航空戦力であり、広域にわたる精密爆撃が集中して実施されました。そうしたなか、開戦初日に早くも世界を驚愕させる一報が流れます。イランの最高指導者であるハメネイ師が爆撃によって殺害されたというのです。攻撃を実行したのはイスラエル空軍であったとされます。これは敵指導部を直接排除する、いわゆる「斬首作戦」の成功を意味していました。

 とはいえ、斬首作戦は簡単ではありません。2022年にロシアがウクライナに対して試みたものの失敗しています。また、さかのぼると2003年にもアメリカがイラクに対して試み、やはり失敗しました。

 ですが、なぜこれほど困難な任務が、しかも開戦直後という極めて短い時間の中で成功したのでしょうか。その背景には、21世紀型空軍の特徴ともいうべき作戦体系の進化が存在します。すなわち、情報と火力を一体化したネットワーク中心の戦闘システムです。

 かつて航空攻撃は、現在よりもはるかに時間を要する作戦でした。飛行機が兵器として用いられるようになって以降、21世紀初頭にかけての最初の100年間の典型的な手順を見ればそれは明らかです。

 まず偵察機が目標地域を飛行し、写真偵察や電子情報収集によって目標の位置や防空状況を把握します。それで得られた情報は分析部門へと送られ、複数の専門家による評価が行われます。そのうえで作戦計画が立案され、航空機の兵装、飛行経路、電子戦支援、給油計画などを詳細に調整します。このようなプロセスを経るためには少なくとも一日、場合によっては数日を要します。こうしたステップを踏むからこそ、大規模な作戦ほど慎重な準備が不可欠でした。

 しかし21世紀に入り、この構図は根本から変化しました。鍵となったのは、センサー、通信、指揮統制を結び付ける軍事ネットワークの発達です。人工衛星、無人機、電子偵察機、さらには地上に潜む人的な情報源、こうした様々な「ツール」が収集したデータは、リアルタイムで指揮統制システムへと送られます。そこでは分析ツールによって瞬時に評価が行われ、攻撃の可否が判断されます。

【イスラエルの切り札?】実戦で使われたかもしれない「空中発射弾道ミサイル」です(写真で見る)

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