ドローンなのに「飛べるところまで吊り上げてって…」 陸自も運用の“空飛ぶ目”に驚きの新運用法!? かさばる「カタパルト」不要に!

陸上自衛隊が運用する無人機「スキャンイーグル2」に、運用方法を根本から変える新技術が登場しました。カタパルトも滑走路も不要になるというその驚きの仕組みと、それによってもたらされるメリットについて解説します。

「空中分離」で弱点克服! フネの上からも発進OK

 近年では、固定翼型無人機のこうした離着陸時の制約を緩和するため、機体に上昇・下降用のローターを取り付けたものも登場してきていますが、これでは巡航中にローターが無駄な重量物となってしまい、機体搭載量や航続時間に影響を及ぼすというデメリットも指摘されています。

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マルチコプター型ドローン「FLARES」と連携する「スキャンイーグルVTOL」の運用イメージ(画像:インシツ)。

 そこで、スキャンイーグル2を開発したインシツ社は最近、この課題に関する斬新な解決策を生み出しました。それは、垂直離着陸可能な無人機とのセット運用です。

「スキャンイーグルVTOL」と名付けられたこの運用形態は、スキャンイーグル2の機体をFLARESと呼ばれるマルチコプター型ドローンに取り付けて上昇させ、地上から約150m上空で切り離して発進させるというもの。回収時には、FLARESが回収用ケーブルを90m上空まで引っ張り上げ、これにスキャンイーグル2の機体をひっかけて回収します。

 これにより、従来必要とされてきたカタパルトと回収用のスカイフックが不要となり、システム構成品すべてを可搬式のコンテナに収めることができるようになりました。そのため、仮に陸上自衛隊がこれを採用すれば、これまでのようにトラックでカタパルト用トレーラーなどをけん引するのではなく、小型車両に機体やFLARESを収納したコンテナを搭載するだけで運用可能となります。

 システム全体がコンパクトになれば、それだけ展開能力や機動性も向上します。たとえば、離島などへの展開もより容易になるでしょうし、これまでは運用が難しかった森林地帯からも発進させることが可能になると思われます。

 また、狭い場所からの機体発進・回収が可能となるため、たとえば陸上自衛隊と海上自衛隊が共同で運用する「自衛隊海上輸送群」に配備される各種の輸送船舶や、今後導入の可能性が指摘されているCB90高速戦闘艇などからでも、運用可能なのではないかと筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は思います。実際、インシツ社ではスキャンイーグルVTOLを波で動揺する船舶から運用することにも成功しており、かつ風速30ノット(秒速約15m)という厳しい環境下でも機体の発進・回収が可能です。

 もしそうなれば、島しょ防衛の場面において、部隊に密着した形で上陸前の綿密な情報収集を実施できるようになるほか、特殊作戦部隊独自の高度な情報収集アセットとしてスキャンイーグル2を運用可能とする、新たな道を切り開くことも不可能ではないでしょう。

 陸上自衛隊での運用開始からすでに7年以上が経過したスキャンイーグル2ですが、「他力本願」ともいえる新たな運用法により、将来その活躍の幅をさらに広げられるかもしれません。

【これぞ“他力本願ドローン”!?】「スキャンイーグル2」とその新運用法を写真で見る(画像)

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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