ここで冷静になって「中国車の現在地」を見てみましょう
F1への参戦を目指すBYDをはじめ、中国の自動車メーカーが世界でシェアを大きく伸ばしています。かつては海外製モデルを模倣した“パクリカー”のイメージが強かった中国車ですが、その成長は近年、新たな段階に入りつつあるようです。
日本のメーカーも連携強化へ!
こうした中国メーカーの海外進出は、新たな段階に入っています。その一例といえるのが、日産が2026年6月上旬に発表した、英国サンダーランド工場で中国のチェリー(奇瑞汽車)車の委託生産を検討するというニュースです。
これまでの中国メーカーは、本国で生産したクルマを輸出するのが主でしたが、海外での現地生産という動きまで出てきたのです。かつての日本メーカーがそうであったように、中国メーカーも海外進出をより高度化させようとしているのでしょう。
また、日系ブランドも中国の現地企業との結びつきを強めています。それが、中国で生産している現地モデルを中国以外(アセアンや欧州)で販売する動きです。すでにホンダ「インサイト」やマツダ「EZ60」、日産「N7」などは中国以外の市場でも販売がスタート。特にインサイトは3000台の限定販売ながら、日本市場にも投入されています。
日本のメーカーは、もともと北米やアセアンなどで生産したクルマを他の市場で販売してきた歴史があります。その生産国のひとつとして中国が成長した形ですが、特筆すべきはこれまでの「ただ作る」だけの業態ではなく、EVをはじめとした車両の開発も中国の現地企業に任せている点です。
こうした動きを踏まえて考えると、中国の自動車業界は、日本や欧米の技術を模倣する段階を過ぎたと見ていいのではないでしょうか。
かつての中国車は“パクリカー”と呼ばれた時期もありましたが、今では日系メーカーなどと共同で新型モデルを開発できるまでに成長しています。特にEVについては、中国メーカーの独自モデルが、地域によって日本や欧米のEVを駆逐するほどの勢いを見せているのです。
それは、かつての家電市場の歴史を見るかのようです。かつて中国の製品は家電の世界でも“パクリ”と言われていましたが、今ではアップル製品の主要生産国となり、また中国ブランドの家電は日欧米の製品を駆逐するほど大きな存在となっています。
同じように、EVに関してはすでに中国が世界一の生産工場になりつつあります。この躍進が今後も続くのか、それとも止まるのか、このさき数年が重要な局面となるはずです。中国自動車メーカーの動きからは、まだまだ目が離せません。
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。著書「自動車ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)





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