京急の「歌う電車」は23年で消滅……海外では50年健在!? 「あの音を消すな」新型車にも受け継がれる

「歌う電車」として親しまれた京急の「ドレミファインバーター」が消えて約5年。海外には「歌う地下鉄」が健在で、その音は新型車両にも粋な形で受け継がれていました。

新型車両への粋な“バトンタッチ”

 一時はモントリオールを走る地下鉄の主力車両に躍り出たMR-73ですが、2016年に営業運転を始めた新型車両MPM-10にかなり置き換えられました。筆者が2026年6月に利用した際にやって来たのはほとんどがMPM-10で、MR-73は平日の朝と夕方のラッシュ時間帯に少し現れた程度でした。それでも、登場50年後も“現役選手”で、持ち味の音色を奏でながら力走している姿を見られるのは感動的です。

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モントリオール交通局(STM)の地下鉄車両MR-73。チョッパ制御の「歌う電車」だ(大塚圭一郎撮影)

 今やモントリオールの地下を駆ける主役となったMPM-10の愛称は「アズール(空色)」。ところが、一枚窓を引き継いだ先頭部は銀色に彩られています。車体が空色なのは側面だけのため、「MR-73の方が空色の面積が広いのに」という印象を抱かされます。

 MPM-10の制御装置はVVVFインバーターですが、採用されたのはシーメンスのライバルである鉄道車両大手アルストム(フランス)の製品。音階を奏でる機能は備えていません。

 一方、MR-73の車両数が減っていくのに伴い、利用者からは「モントリオールの地下鉄らしい“ドゥ・ドゥ・ドゥ”の音が消えていくのは残念だ」と惜しむ声も出たそうです。そこでタイミングこそ少し異なるものの、MPM-10にも「ドゥ・ドゥ・ドゥ」の音を発する“特別機能”が設けられました。

 それは、客室の両開き扉が閉まる際の警告音です。MPM-10の扉の脇には発光ダイオード(LED)照明を備えており、運行中は駅に到着する前に開く側のLED照明が緑色に光り始めます。扉が閉まる時にはLED照明が赤色に切り替わるとともに、「ドゥ・ドゥ・ドゥ」の音が響いて警鐘を鳴らすのです。

 つまり、MR-73が発車後に響かせていた音色を、MPM-10では扉を閉めるタイミングに“先取り”したというわけです。MR-73に親しんだ長年の利用者にとっては「電車が行ってしまった時に聞こえてくる音」のため、駅に停車中のMPM-10からこの音を聞こえてくると条件反射的に「次の電車を待とう」と判断するかもしれません。

 そのように機能すれば、駆け込み乗車を防ぐ効果も期待できます。モントリオールの地下に響く名物の音色を、テンポよくバトンタッチできたと言えそうです。

【写真で見る】新旧「歌う地下鉄」と「歌う京急(だったやつ)」

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