海自は米国製MQ-9Bに決めたのにナゼ!? 川崎重工とエアバスが「ユーロドローン」対潜型でタッグ組む理由
川崎重工業とエアバスは2026年6月、無人機「ユーロドローン」の対潜哨戒型の共同検討に向けた覚書を締結しました。すでに海自はアメリカ製MQ-9Bの導入を決めていますが、なぜ日欧で新たな無人機タッグを組むのでしょうか。
圧倒的なペイロードと、川崎重工の「経験」
ひとつの要因としては、飛行性能の差があると考えます。MQ-9はターボプロップ単発で最大離陸重量が4760kg、ペイロード1700kg、巡航速度約310km/h、滞空時間が最大28時間であるのに対し、「ユーロドローン」はターボプロップ双発で、最大離陸重量1万1000kg、ペイロード2300kg、巡航速度約500km/h、滞空時間は最大40時間です。
また「ユーロドローン」はノースロップ・グラマンが開発したRQ-4B「グローバルホーク」に近い機体サイズで、MQ-9よりも大きいです。この大きさを活かしてソノブイだけでなく魚雷や各種対潜装備も搭載できることから、P-1と連携して任務に就くだけでなく、単独での運用も想定しているようです。
加えて、川崎重工には、1950年代後半からP2V-7のライセンス生産を行い、改良型P-2Jの独自開発、P-3Cのライセンス生産およびアップデート、そして国産哨戒機P-1の開発まで、連綿と行ってきた実績があります。
このような、70年にわたって哨戒機のシステムインテグレーターとして培ってきた技術と知見をユーロドローン対潜哨戒型に活かせることも、もうひとつの要因だったのではないかと筆者(小林春彦:月刊『軍事研究』記者)は推察します。
エアバスは今後、日本が「ユーロドローン」対潜哨戒型を導入した際に制限なく運用できるように、川崎重工と想定される機体の仕様や日本製対潜戦システムとの統合、製造・維持整備における日本産業界とのワークシェアなどの可能性について、検討すると説明しています。
日欧の大手防衛企業が無人航空機で初めてタッグを組んだ「ユーロドローン」対潜哨戒型ですが、実現した暁には、防衛省への提案だけでなく、第三国への輸出も視野に入れている模様です。
Writer: 小林春彦(月刊『軍事研究』記者)
月刊誌『軍事研究』編集部記者。編集作業の傍ら、運用者である防衛省・自衛隊および防衛装備品を作る国内外企業などの取材をもとに記事を(不定期に)執筆する。





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