イタリアは「戦車を作らない」と決めた訳ではない? 国産へのこだわりより“現実”を選びつつ野心も見せる意外な理由

ユーロサトリ2026で、イタリアの防衛企業レオナルドとドイツのラインメタルが共同開発する次世代主力戦車「NMBT」が公開されました。単独開発をイタリアが断念した意味とはどういったものなのでしょうか。

主導権を確保し、イタリアの産業も守る選択

 NMBTは、新しい戦車を調達する計画であると同時に、イタリア防衛産業の将来を左右する国家プロジェクトでもあります。

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NMBTのベースとなったKF51パンター(画像:ラインメタル)

 共同開発とはいえ、電子機器や火器管制装置、各種センサーなどイタリア企業が強みを持つ分野はレオナルドが担当します。さらに、レオナルドとラインメタルが設立した合弁会社では、生産・開発工程のおよそ60%をイタリア国内で担う計画となっており、防衛産業や雇用、技術基盤を国内に維持することも重視されています。

 つまり、国外企業のプラットフォームを採用する一方で、自国企業が開発の主体性を維持し、将来の発展や改良にも主導的に関われる体制を確保したのです。世界最先端の技術を取り込みながら、自国企業が開発の主導権を維持し、国内産業も守る――。イタリアが選んだのは「妥協」ではなく、防衛産業の競争力を維持するための実利を重視した戦略でした。

 さらに、NMBTはイタリア軍向けだけでなく海外市場への輸出も視野に入れています。欧州では多くの国が戦車更新の時期を迎えており、競争力のある新型戦車を共同開発できれば、防衛産業の維持や技術者の育成に加え、将来的な経済的メリットも期待できます。

 工業国としての誇りを守ることと、すべてを自国だけで開発することは、もはや同じ意味ではなくなっているのかもしれません。イタリアが選んだのは「国産」を諦めることではなく、世界の技術を取り込みながら、自国産業を守るという新しい選択でした。NMBTは、その象徴ともいえる存在なのです。

【最新鋭戦車の詳細が明らかに!】これが、イタリアの新車両です(画像)

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雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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