ドイツの次世代戦車計画が3種類も!? 「本命」が乱立する理由とは そもそもフランスとの共同開発どうなる!?

欧州で行われた防衛装備の見本市でドイツ次世代戦車が数多く公開された理由。実は時間の事情が関係しています。

実は“折半案”なのか?

 なかでもMBT Vision 2032が興味深いのは、PSMという会社の立ち位置です。同社は単独メーカーではなく、KNDS Deutschlandとラインメタルという、ドイツを代表する2大軍用車両メーカーが共同で設立したプロジェクト管理会社であり、ドイツ連邦軍から見れば、複数メーカーの技術や担当範囲をまとめる窓口として機能する存在といえます。

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PSMのブースに展示されたプーマ歩兵戦闘車(布留川 司撮影)

 この構図を考えると、MBT Vision 2032は単なる新型戦車コンセプト以上の意味を持っている可能性があります。ラインメタルにはKF51 パンターで示した130mm砲や新型砲塔技術があり、KNDSにはレオパルト2シリーズで培った車体技術やレオパルド 2 A-RC 3.0で示した無人砲塔コンセプトがあります。MBT Vision 2032は、両社がこれまで培ってきた技術をベースに、新規開発要素を組み合わせた構想とみられます。

 もちろん現時点では、MBT Vision 2032はあくまでコンセプトであり、ドイツ陸軍が正式に採用を決めたわけではありません。しかし、KNDSとラインメタルがそれぞれ独自案を示す一方で、両社が半分ずつ出資するPSMからも別の構想が出てきたことは注目すべきポイントだといえます。

 これは単なる競争ではなく、2大メーカーが協力し、それぞれの技術を生かせるモデルを探る動きとも見ることができます。そう考えるとPSMは、ドイツの次世代戦車開発において、メーカー間の利害をつなぐ“触媒”のような役割を果たそうとしているのかもしれません。

 既に7月下旬には、ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、フランスとのMGCSの共同開発計画について、最終的にはフランスと共通の戦車プラットフォームとはならない可能性が高いとの見解を示し、共通の技術基盤や相互運用性(インターオペラビリティ)の確保に重点を置くべきだという方向性になりつつあることを示唆しました。

 既にフランス側もドイツのようにMGCSとルクレールをつなぐ中間的な役割の戦車の開発を実施しています。

 MGCSの国際開発の先行きが不透明なこうした状況を見ると、国内企業複数社が技術を高めるのは現実的な路線かもしれません。ユーロサトリで並んだ3つの戦車は、ドイツ戦車開発の混乱ではなく、2030年代の答えを急いで探す欧州防衛産業の現実を映し出していました。

【繋ぎと思えない性能!】これが、ドイツの次世代戦車です(画像)

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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