東京駅の中央線ホームが「上」にあるワケ 在来線だが「きっかけ」は北陸新幹線

新幹線のホーム不足を「玉突き」で解消

 これに先立つ1989(平成元)年、北陸新幹線(長野新幹線)の高崎~軽井沢間が着工。1991(平成3)年には軽井沢~長野間も着工し、1997(平成9)年の長野までの開業を目指して工事が進められることになりました。しかし、ここで問題になったのが東京駅の「ホーム不足」です。

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中央線ホームの下にある京浜東北線・山手線ホーム(2012年9月、草町義和撮影)。

 長野新幹線の列車も東京駅に乗り入れて長野に直通することになっていましたが、JR東日本が東京駅に設けている新幹線用のホームはひとつだけ。このホームを東北新幹線と上越新幹線の列車がすでに使っており、さらに長野新幹線の列車も発着させるのは困難だったのです。

 この問題を解決するためには、根本的にはホームを増やすしかありません。しかし、この時点で車庫の敷地はすでに使い切っていました。従来通り東西に並べるような形でホームを増設するなら、その分土地を買収しなければなりません。駅の周囲は地価が高くビルが密集しており、膨大な費用がかかるうえに工事期間も長くなってしまいます。

 そこで考えられたのが、ホームを「東西」ではなく「上下」に並べること。1992(平成4)年から工事が始まりました。

 まず、中央線が発着していた旧1・2番線ホームの上に高架橋を建設。ここに新しい1・2番線ホームを設置し、1995(平成7)年に中央線を移設しました。これにより旧1・2番線ホームが空いたことから、旧3・4番線ホームを使っていた京浜東北線北行と山手線内回りを旧1・2番線ホームに移設。さらに旧3・4番線ホームには旧5・6番線ホームを使っていた山手線外回りと京浜東北線南行を移設……というように、在来線の線路を丸の内寄りに順次、「玉突き」で移転していったのです。

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コメント

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2件のコメント

  1. 東北新幹線が強引に東京駅に乗り入れたことが大きな問題。元通り、上野駅発着に戻すべき。

    • そもそもJR東日本は東海道新幹線に1面2線譲ったのが問題だよ。何がべきだ