線路幅1067 1372 1435mm… 半端な数字のワケ 高速化 地下鉄建設などと絡む鉄道の歴史

路線によって、色々な線路幅が存在する理由

 日本に鉄道を建設する機運が高まった時期に、イギリスでは狭軌ブームが巻き起こり、標準軌に比べて建設自由度の高い狭軌はいわば「流行の最先端」ということで、イギリスの植民地を中心に広く採用されました。

 この当時、すでに車両の大型化技術が確立し、線路の幅をあえて広くせずとも輸送力は狭軌で遜色なくできるという主張がイギリスでなされていました。一説では、同国の技術で建設される日本の鉄道も、その流れに乗って狭軌が採用されたとされています。

Large 200507 gauge 02

拡大画像

京王電鉄に乗り入れるため、1372mmゲージを採用した都営新宿線。日本で1372mmゲージは少数派(2011年1月、児山 計撮影)。

 ところで、線路の幅は全国で統一されていたほうが車両の乗り入れなどで有利ですし、国を含む鉄道事業者がほかの鉄道事業者の路線を買収するような際も、幅を変更する手間がかかりません。たとえば狭軌の在来線に標準軌の新幹線電車が乗り入れるJR奥羽本線では、在来線用と新幹線用に3本のレールを敷設するなど、手間がかかっていますが、同じ線路幅ならもっと簡素にできたでしょう。しかし、日本の鉄道は結果として、多様な線路幅となります。

 日本の鉄道を建設、運営するための法律である「地方鉄道法」では、線路の幅は1067mmであることと決められていましたが、路面電車を建設、運営するための法律である「軌道法」はその制限を受けませんでした。1890年代になると日本で「電鉄ブーム」が巻き起こり、米国の都市間電車に範をとった鉄道会社が、この軌道法を根拠に、大きなモーターを搭載して高速運転が可能な1435mmの標準軌をこぞって採用します。

 さらに、馬車鉄道から電気鉄道になった東京都電などは、馬車鉄道時代の線路幅である1372mmのまま電車化しました。

【写真】レールが3本! 2種類の幅に対応した線路

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. 誰か(ごめん思い出さない)の本によると三重県の某所に762mm(確か三岐鉄道)、1067mm(JR)、1435mm(近鉄)の3種類のゲージを跨ぐ踏切があるようですよ。

  2. >カーブで列車がスムーズに走れるよう2分の1インチ広げた

    これは信じられない。直線区間まで同じように広げるたらむしろ危険でしょ?
    曲線半径ごとに修正すべき調整幅を決めてマニュアルに記載するのが本来のやり方だと思いますが、、、(黎明期ゆえ混乱していたのだろうか)

    • 2分の1インチ広げたのは、車輪のフランジとレールとの問題解決のためである。
      「鉄道ファン」(交友社)1976年8月号(No.184)102ページを見ればよい。