「○○丘」駅が東急 小田急 京王に多く、「○○台」駅が東武 京成に多いワケ

東武の「〇〇台」駅は戦後開業か改称

 そのほか、第一世代に相当する西武池袋線ひばりヶ丘駅(東京都西東京市)は1959(昭和34)年、付近にできた団地名にあわせて田無町駅から改称したもので、ユーカリが丘駅と同様の事例です。もうひとつ、同線の狭山ヶ丘駅は1933年に三ヶ島村駅を改称したもので、こちらは当時の時流に乗った改称といえるでしょう。ちなみに、第二世代の京急にも「○○丘」駅はありません。

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東武東上線の朝霞台駅付近。駅はビル群のある高台に立地(2021年4月、内田宗治撮影)。

 一方、「○○台」駅が関東の大手私鉄で最初に登場するのは自由ヶ丘駅よりずっと古く、1914(大正3)年開業の京成電気軌道(現・京成電鉄)市川鴻の台(現・国府台、千葉県市川市)駅、1919(大正8)年に改正橋駅から駅名改称した京王電気軌道の初台(東京都渋谷区)駅などがあります。

 なお、東武には朝霞台、みずほ台、せんげん台、七光台など7つの「○○台」駅がありますが、すべて戦後に開業または駅名改称した駅です。朝霞台駅(埼玉県朝霞市)は高台にある一方、せんげん台駅(同・越谷市)周辺は水田が広がっていた低地を宅地化したなど、地形的には様々です。

 関東の私鉄で最も路線が長く、歴史も古い東武は、東急のような駅の命名をしませんでした。「関東の私鉄の雄」とも呼ばれてきた自負を感じさせてくれます。

【了】

【写真】低地にありながら「〇〇台」を名乗る駅

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Writer: 内田宗治(フリーライター)

フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。

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コメント

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10件のコメント

  1. 小田急:相武台前、湘南台、五月台〜相武台は移転なった陸軍士官学校に対し昭和天皇が1937年に命名したもの。防諜上の理由で駅が今日の名を名乗るのはもう少しあとだった。

    • ミリタリー系は、あまり詳しく無いですが。そうなると朝霞台は、もしかしたら振武台だった可能性もあるんですかね。

    • 訂正します。
      朝霞台駅開業時もしくは朝霞駅改称で振武台になっていた可能性もあり得えた話何ですかね?

  2. 東急田園都市線には、台の付く駅が多いですね。
    宮崎台、青葉台、すずかけ台

  3. JRにも根岸線に洋光台、港南台、本郷台と台の付く駅があります。

  4. 京王は「台」の方が多いと思います。
    初台、三鷹台、武蔵野台、若葉台、めじろ台。
    「丘」は、富士見ヶ丘、つつじが丘、聖蹟桜ヶ丘。

    • 訂正
      つつじが丘→つつじヶ丘

  5. 京王も東急も〇〇丘よりも〇〇台の方が多いね。
    小田急は〇〇台よりは〇〇丘の方が多いけど〇〇田と〇〇前の方がさらに多い。

  6. 仮にタイトルの通りだとすると、東京都心を基準に、東側か西側かの違いなんじゃないかな?

  7. 台地は「台」、丘陵は「丘」、高度成長期はノリでぐちゃぐちゃって感じかな?
    高度成長期ぐちゃぐちゃの例
    伊勢崎線せんげん台:昔は見渡す限り水田だったところ、千間堀の堀を台に変えちゃった
    田園都市線宮前2駅:宮前と書いて「みやざき」と読ませる地名から宮崎台と宮前平と命名、台と平はただの語呂合わせ