「ゴオォォ…」も記憶の中に 東急8500系半世紀の歴史に幕 なぜここまで田園都市線のヌシに?
とうとう「田園都市線の顔」だった東急8500系が引退しました。一時は同社最多の400両が在籍しましたが、登場から半世紀ほどが経ち、新型車両へ置き替えられたのです。長寿だった理由は何でしょうか。
当時の最新技術を詰め込んだ車両
2023年1月25日(水)、東急電鉄で最古参だった8500系電車が定期運行を終了しました。登場してから実に半世紀近く、大手の私鉄でこれほど長く使われたというのは、なかなか珍しいことです。
最後まで残った編成(8637編成)こそ、東急電鉄のコーポレートカラーとは異なる「青い帯」を車体にまとっていましたが、本来のカラーリングである「銀色に赤」のイメージは、東急線や直通する各沿線の人に強い印象を残しているでしょう。東急8500系はどんな生涯だったのでしょうか。
8500系は1975(昭和50)年、東横線などへ導入された8000系電車をマイナーチェンジし、新玉川線(現・渋谷~二子玉川)と営団地下鉄(現・東京メトロ)半蔵門線の乗り入れ用として導入されました。車体はすべてステンレス製。加減速がひとつのハンドルで操作可能な「ワンハンドルマスコン」を備えたほか、ブレーキ装置には制動時に発電して電力を架線に戻す「回生ブレーキ」を採用するなど、当時の最先端技術を盛り込んだ車両でした。10両編成のうち8両を電動車としましたが、よくトンネルの奥から「ゴオオォォ…」という爆音が聞こえたのは、このせいです。
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