食堂車でもビュッフェでもない、それがいい! 列車に「ラウンジ」がある意味 まだまだ進化中!

観光色が強い鉄道車両や、寝台特急のように運行時間が長い列車の中には、座席定員外の「サロン」や「フリースペース」が存在するものもあります。文字通り「自由に着席できる、みんなのスペース」は、どう使われてきたのでしょうか。

工夫を凝らした観光列車が様々登場

 新時代の寝台列車にもフリースペースは設けられます。1998(平成10)年に登場した285系「サンライズ瀬戸・出雲」には、共用シャワー室の待機場所にもなるミニサロンが設けられました。

 2024年現在も「カシオペア紀行」として活躍するE26系「カシオペア」には、電源車を兼ねた展望ラウンジカーとミニロビーが設けられています。この時代のJR東日本はフリースペースに意欲的で、例えばジョイフルトレイン「no.do.ka」に前面展望可能な展望フリースペースを、定期の特急列車でも中央本線のE257系にフリースペースを設けています。

 JR九州の「D&S列車」にもフリースペースが多く見られました。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は「SL人吉」のガラス張り展望室が好きです。子ども目線で小さな椅子がおかれているのは素晴らしいデザインだと思います。

 2010年代になると、京都丹後鉄道の特急「丹後の海」や京成電鉄「新型スカイライナー」、近畿日本鉄道の「ひのとり」などの例があるものの、有料設備を伴わないフリースペースはそれほど見られなくなります。しかし観光列車へ目を向けるとフリースペースは健在でした。えちごトキめき鉄道の「えちごトキめきリゾート雪月花」には、運転台後ろに展望室があり、前後左右ガラス張りの展望が楽しめます。「雪月花」と同じく川西康之氏が手がけたJR西日本の長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」では、6両編成で5か所ものフリースペースがあり、車内を歩き回る楽しみがあります。

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JR西日本の長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」フリースペース(安藤昌季撮影)。

 JR東日本の観光列車「HIGH RAIL 1375」には、ミニプラネタリウムのあるフリースペースが設けられました。同社の観光列車では、ほかにも「リゾートしらかみ」で津軽三味線が演奏されるなど、地域イベントが可能なフリースペースが設けられるようになります。

 また、ユニークなのは阪急電鉄の「京とれいん 雅洛」です。全車自由席であり、明確なフリースペースではありませんが、庭園の後ろに設けられた畳敷きの空間は、日本を感じさせる斬新なデザインです。

 車内にあって「心のゆとり」を与えるフリースペース。新型「やくも」にも設置されるようで、今後どう進化していくのか注目されます。

【了】

戦前の展望車とは(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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