「史上最悪の作戦」インパールを走ったトラックの車種は? 4WDじゃない!? 泥濘を駆けた“輸送任務”の実態

史上最悪の作戦といわれるインパール作戦から生還した祖父。遺した手記をもとに、自動車部隊として従軍したときの様子に前後編で迫ります。後編では具体的な車種を挙げ、作戦における兵士からの評価にも着目します。

「トラック」実際はどんな車種だった?

 50年に一度の雨季のさなかに強行されたインパール作戦。独立自動車第101大隊(101大隊)所属の祖父は、毎日泥濘化した道と戦いながらトラックを運転していました。

 その話を聞いた筆者(吉永陽一:写真作家)は、ジャングルの泥道を走るのだから四輪駆動車だと思い込んでいましたが(祖父はトラックとだけしか述べていなかった)、手記でほかの方のページを読むと、どうやらそうではないのです。
 
「雨季に入った密林の中、脛まで届く泥濘では、内地から送られてきた年式の古い後輪駆動の自動車は、もはや動けるものではない」
「まして自動車は登り坂になると、後車軸のデフが泥に食い込み、チェーンをつけても車輪は空回りするだけで(中略)最前線への補給も果たせない始末だった」

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1932年式の日本GMシボレートラック。後輪駆動である(写真提供:日本自動車博物館)。

 これらの記述からするとFR車だったようです。101大隊は国内で動員完結したとき、乗用車18、貨車(トラック)196、修理車4の計218台で、トラックは民間から徴用した1937年式、38年式、39年式のGMシボレートラックが大部分でした。ある隊員曰く、別名を“シボレー部隊”と呼称したほど、民間徴用のシボレートラックがかき集められたのです。

 作戦を見越して編成された自動車部隊には、国産軍用トラックではなく徴用車で占められた隊もあり、101大隊もその一例だったといえましょう。

【手記より写真】自動車部隊の日産80型

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