10年前の大議論「ホルムズ海峡に機雷が敷設された際の日本の対応」が現実に…! 自衛隊派遣できるの?できないの? その「理屈」とは(前編)
イランがホルムズ海峡を事実上閉鎖し、世界のエネルギー供給に懸念が広がっています。この事態を受け、かつて国会で議論された自衛隊の活動を可能とする「存立危機事態」について、あらためて考えます。
「存立危機事態」ってどんな状況?
一方で、集団的自衛権は他国が攻撃を受けた場合に行使するものです。そのため、それまでは「他国が攻撃されたことによって国民の諸権利が脅かされ、日本の存立が危うくなる」という事態が想定されなかったため、これは憲法が認める必要最小限度の枠に収まらないと解釈され、集団的自衛権は憲法上行使できないとされてきたのです。
しかし、安全保障環境や軍事技術の進歩などを鑑みて、他国に対する攻撃であっても限定的な場合にそれが日本の存立を脅かすこともありうる、という形で憲法解釈が見直されたのです。これにより、そうした限定的な場合には、日本も集団的自衛権を行使できるということになりました。そして、この限定的な場合というのが、まさに存立危機事態というわけです。
存立危機事態とは、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義されています。これをもう少しわかりやすく言うと、「他国に対する軍事攻撃が発生した場合に、日本がその状態で何も手を下すことなく、武力を用いた対処をしなければ、日本国民に対して日本が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害がおよぶことが明らかな事態」ということになります。
たとえば、北朝鮮が韓国に武力侵攻し、アメリカ海軍のイージス艦が日本海に展開して、日本の防衛も含みつつ北朝鮮による弾道ミサイル発射を警戒していたとします。このとき、このイージス艦が北朝鮮から攻撃を受けたとすると、これは日本に対する攻撃ではなくアメリカに対する攻撃ということになります。
しかし、このイージス艦がやられることにより、その穴をついて北朝鮮が日本をミサイル攻撃してくることが明白である場合には、自衛隊が集団的自衛権の行使としてこのイージス艦を防護する、というのが2015年当時に日本政府が示した存立危機事態における武力行使の具体例の一つです。
つまり、「この国がやられれば、攻撃国のこれまでの言動や現在の状況を考慮すると、次の標的は間違いなく日本だ…」という状況であれば、存立危機事態が認められると言えそうです。とすると、日本から遠く離れた中東のホルムズ海峡に機雷が敷設されたとしても、これによって「次は日本がやられる」という状況が発生するとは思えません。
では、なぜホルムズ海峡に機雷が敷設される事態が存立危機事態に該当し得ると、平和安全法制が審議されていた当時の国会で日本政府は答弁したのでしょうか。





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