北海道のローカル線問題「負担のなすりつけ合い」が永遠に? 「なぜ」無き情緒的な議論 他国は“客観的に判断”
JR北海道の維持困難線区について「誰が負担するか」が議論されています。しかしその前に、国家にとって北海道や鉄道が「なぜ必要なのか」という根本的な議論が不可欠ではないでしょうか。
「インフラどう活用するの?」の議論がそもそも無い
一方、北海道内だけで考えても議論が足りません。人口減少の深刻化を背景に日本の政策は今、大きな転換点にあります。
2023年に閣議決定された国土形成計画では、小さな拠点と網(コンパクト・プラス・ネットワーク)の形成が明記されました。これは、かつての無秩序な拡大の時代から、既存の資産を効率的に管理する「成熟した国土の維持・管理」への転換です。
鉄道と道路では、国土に与える影響が根本的に異なります。機能している鉄道は、駅を中心とした集積を作り出します。都市機能が集約されると、一人あたりの下水道、水道、道路といったインフラの維持管理費用が低い、効率的な国土構造になります。
一方で、潤沢な道路財源に頼り、道路網を拡充し続ければ、居住や商業機能の分散(スプロール化)を招きます。この分散は集積を破壊し、インフラの総延長を増やし、自治体の財政を圧迫します。
北海道をこのまま分散させ共倒れに導くのか、あるいは戦略的に鉄道を使い都市を集積させて将来的な行政費用を抑制するのか。北海道という国土をどう形作るか、そのためにインフラをどう活用するのかの議論が見当たりません。
だから鉄道を「定量評価」すべき
そのためには、鉄道の役割を客観的に定量評価する指標が必要です。例えば、鉄道を社会資本として評価する基準として、英国財務省のグリーンブック(公的投資の評価基準)に準拠した評価指針TAG(Transport Analysis Guidance)があります。
TAGは道路・鉄道を同じ物差しで測る厳格な経済評価手法で、移動時間の短縮といった直接的な便益だけでなく、以下のような広域的な経済影響(WEI:Wider Economic Impacts)も算出します。
・集積の経済:鉄道による拠点間の接続が、企業の生産性向上を誘発する効果。
・不完全競争下の生産変化:輸送費用の低減が市場への接触を改善し、実質的な国内総生産(GDP)を押し上げる効果。
経済だけでなく、鉄道社会的価値ツール(RSVT:Rail Social Value Tool)で鉄道がもたらす地域社会、雇用、環境、健康、サプライチェーンなど社会的な便益も測定しています。2024の年RSVTには529の指標があり、そのうち258の指標には貨幣換算価値が設定されています。





とても重要な意見だと思います。ぜひ、もっと声高に、色々なところで主張してくださいませ。