北海道のローカル線問題「負担のなすりつけ合い」が永遠に? 「なぜ」無き情緒的な議論 他国は“客観的に判断”
JR北海道の維持困難線区について「誰が負担するか」が議論されています。しかしその前に、国家にとって北海道や鉄道が「なぜ必要なのか」という根本的な議論が不可欠ではないでしょうか。
一企業の収支で考える段階は“とうに過ぎている”
以下はTAGにおけるRSVTの指標の一例です。
・経済的・社会的回復力:大量輸送が可能な鉄道網が、災害や有事の際にサプライチェーンを維持し、国家の食料安全保障や防衛能力を支える「保険」としての価値。
・社会的包摂:自動車を利用できない層の移動権利を保障し、社会的格差を抑制することで、地域コミュニティを維持する価値。
・環境および幸福への寄与:道路交通からの転換による環境負荷低減や、人々の幸福度の向上。
英国ではこれらの指標を用い、鉄道を維持する経済的・社会的な便益が、維持費用を上回るかどうかを客観的に判断しています。
日本における交通政策の費用便益分析(B/C)は、こうした集積の経済や社会的価値の算入が限定的なため、存廃論議が情緒的になりがちです。
食料安保、エネルギー、国防という北海道の役割を完遂するためには、一企業の収支を論じる段階はとうに過ぎています。視野を狭めず英国のように根拠を明確にし、北海道がどう役立つのか、鉄路を国土にどう役立てるのか、国家の生存を支えるインフラは何かと考えることが、北海道や鉄道の議論の出発点となるべきです。
Writer: 山田和昭(日本鉄道マーケティング代表、元若桜鉄道社長)
1987年早大理工卒。若桜鉄道の公募社長として経営再建に取り組んだほか、近江鉄道の上下分離の推進、由利高原鉄道、定期航路 津エアポートラインに携わる。現在、日本鉄道マーケティング代表として鉄道の再生支援・講演・執筆、物流改革等を行う。





とても重要な意見だと思います。ぜひ、もっと声高に、色々なところで主張してくださいませ。