超ミニ路線が歴史を変えた!「短絡線」5選 人の流れ変化 ライバルに勝利 “直通”のカギ
阪和短絡線・梅田貨物線
JR阪和線はその前身が私鉄の阪和鉄道ということもあり、ターミナルの天王寺駅は櫛形ホームとなった行き止まり式でした。阪和線から大阪環状線への短絡線は古くからありましたが、当初は貨物列車の受け渡しに使われていました。
旅客列車が常時、短絡線を走るようになったのは、1989(平成元)年7月に新しく阪和短絡線が完成してから。この短絡線は2008(平成20)年、複線化などさらに改良が加えられ、現在は関空快速や関空特急「はるか」などが頻繁に運行されています。
ちなみに「はるか」は西九条駅から梅田貨物線を通って東海道本線へ直通するなど、短絡線や貨物線を巧みに利用して京都駅へ向かいます。
これらの短絡線や貨物線が、関西国際空港や和歌山方面から多彩な行先の列車を設定可能にしており、「はるか」はライバルの南海電鉄にはできない京都へのダイレクトアクセスを実現しています。
西武・秩父鉄道短絡線
西武秩父駅(埼玉県秩父市)は秩父農工高等学校の跡地に造られた関係で、乗換駅とされている秩父鉄道の御花畑駅(同)とは離れた位置にあります。両線を利用する場合は一度改札を出て乗り換えなければなりません。しかし、観光需要はもとより秩父鉄道沿線から通勤する利用客からの要望もあり、1989(平成元)年、西武秩父駅に短絡線が建設されました。西武線から秩父鉄道の長瀞方面に向かう列車は、ひとつ手前の横瀬駅(埼玉県横瀬町)から短絡線を通って秩父鉄道に乗り入れます。
これによって西武鉄道は秩父観光にさらなる力を入れることとなり、一方で同じく秩父鉄道に直通していた東武東上線は乗り入れを縮小ののち、1992(平成4)年に廃止しました。短絡線の完成が、両社の秩父観光戦略を大きく変えたと言えるでしょう。
ここで紹介した路線のほかにもたくさんの短絡線が日本全国に建設されています。普段何気なく乗っている列車も、もしかしたら短絡線のお世話になっているかもしれません。
【了】
※誤字を修正しました(12月16日21時30分)。
補足ですが阪和鉄道ではなく阪和電気鉄道です。開業時から電化されていました。
関国空港ではなく、関西国際空港(関西空港、関空)
乗りものニュース編集部です。
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。
これからも変わらぬご愛顧を賜りますよう、
何卒よろしくお願い申し上げます。