兵士の「手すり」じゃないの!? 旧日本軍の戦車にあった謎の“ハチマキ” その意外すぎる正体

旧日本軍が多用した九七式中戦車。その初期型モデルの砲塔を見ると、ぐるりと囲むように手すりのようなパイプが付いています。一見すると歩兵が掴まるためのものに見えますが、実はこれ、とある重要装備でした。

実は世界的にはポピュラー なぜ“ハチマキ姿”だったのか

 こうした流れのなかで、旧日本陸軍では当初、竹竿などを利用し無線の空中線を高く、長く展開することなどが試されましたが、これを立てたまま走行するとなると、森林や藪などの通過時に樹木に引っ掛かる可能性があるうえ、敵に見つかりやすいという欠点も懸念されました。

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第二次世界大戦中に多用されたSd.Kfz. 250/3指揮通信車。写真はドイツのロンメル将軍が搭乗した「グライフ」の愛称で呼ばれていた車体(画像:ドイツ国立公文書館)。

そこで考えられたのが、砲塔上部をぐるりと巻くように取り付けられたフレームアンテナ、通称「鉢巻アンテナ」です。

 このような取り付け方であれば、どこかに引っ掛かったり、見つかりやすかったりといったことがありません。それでいて、実長はロッド式アンテナと変わらないため、一定程度の感度を確保することができました。

 なお、このフレームアンテナはソ連軍戦車も備えており、ドイツ軍でもハーフトラックSd.Kfz.250の無線指揮車型などの頭上に、長方形のフレームアンテナを装備したりしていました。そのため、世界的に見ると決して少数派などではなく、割とポピュラーなアンテナ配置だったのです。

しかし戦争が激しさを増し、無線機の性能も向上。一方で冒頭に記したように、九七式中戦車自体が、47mm戦車砲装備の新砲塔を載せるようになったことで、鉢巻アンテナに代えて直立アンテナを多用するようになった結果、「戦車のハチマキ」は姿を消しました。

【写真】日本戦車と付けかた逆! ソ連の「鉢巻き」戦車を見る

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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