日本が誇る飛行艇「US-2」なぜ空中消火に使わない? 過去にはテストまでしたのに… “最大の壁”とは
山林火災が多発する季節。海外では飛行艇や改造飛行機が空中消火で活躍しています。一方で、なぜ日本の飛行艇「US-2」は消防機として使われないのでしょうか。そこには日本の山火事に潜む “特殊すぎる事情” が影響していました。
US-2ならではの理由
また消防飛行艇として運用するには、胴体内に消火剤タンクや着水している時にタンクへ水を汲み上げるポンプを装備する必要があります。ただ、これらを装備すると、それだけで胴体内部はいっぱいになってしまい、救難飛行艇と兼務することは事実上不可能になります。
では、PS-1の1号機のように、新造機と入れ替わりに退役する機材を改造する、という形ではどうでしょうか。海上自衛隊における現在の調達ペースが変わらなければ、2~3年に1機ずつ消防飛行艇に改造が可能となり、新造するよりはコストが圧縮できます。
すると今度は、運用面での問題が出てきます。前述したPS-1を改造した消防飛行艇の実験では、実験主体は東京消防庁だったものの、飛行艇のパイロットが在籍していないこともあり、運用は海上自衛隊が担当していました。
現在、US-2を運用している海上自衛隊の第71航空隊では、訓練時間などを確保するため、かつては小笠原諸島などでの急患輸送を目的として、神奈川県の厚木基地に常に1機派遣していた体制を改め、すべて山口県の岩国基地で対応するようになっています。飛行艇のパイロット養成や技量維持の訓練は時間がかかり、これに消防飛行艇の任務をプラスすることは、難しいといわざるを得ません。
US-2は、外洋でも離着水できる優れた性能が持ち味です。しかし海水は塩分が植物を枯らしてしまうため、山林火災での空中消火では周囲の植生に悪影響を与えないよう、なるべく淡水であることが望まれます。
ところが日本の湖沼を見渡してみると、大型の飛行艇であるUS-2が安全に離着水できるような広い湖は数えるほどしかありません。せっかくの高性能を持て余してしまう可能性が高いのです。





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