日本が誇る飛行艇「US-2」なぜ空中消火に使わない? 過去にはテストまでしたのに… “最大の壁”とは

山林火災が多発する季節。海外では飛行艇や改造飛行機が空中消火で活躍しています。一方で、なぜ日本の飛行艇「US-2」は消防機として使われないのでしょうか。そこには日本の山火事に潜む “特殊すぎる事情” が影響していました。

US-2ならではの理由

 また消防飛行艇として運用するには、胴体内に消火剤タンクや着水している時にタンクへ水を汲み上げるポンプを装備する必要があります。ただ、これらを装備すると、それだけで胴体内部はいっぱいになってしまい、救難飛行艇と兼務することは事実上不可能になります。

Large 20260326 01

拡大画像

2機揃って放水するスペイン空軍のCL-415消防飛行艇(画像:スペイン空軍)

 では、PS-1の1号機のように、新造機と入れ替わりに退役する機材を改造する、という形ではどうでしょうか。海上自衛隊における現在の調達ペースが変わらなければ、2~3年に1機ずつ消防飛行艇に改造が可能となり、新造するよりはコストが圧縮できます。

 すると今度は、運用面での問題が出てきます。前述したPS-1を改造した消防飛行艇の実験では、実験主体は東京消防庁だったものの、飛行艇のパイロットが在籍していないこともあり、運用は海上自衛隊が担当していました。

 現在、US-2を運用している海上自衛隊の第71航空隊では、訓練時間などを確保するため、かつては小笠原諸島などでの急患輸送を目的として、神奈川県の厚木基地に常に1機派遣していた体制を改め、すべて山口県の岩国基地で対応するようになっています。飛行艇のパイロット養成や技量維持の訓練は時間がかかり、これに消防飛行艇の任務をプラスすることは、難しいといわざるを得ません。

 US-2は、外洋でも離着水できる優れた性能が持ち味です。しかし海水は塩分が植物を枯らしてしまうため、山林火災での空中消火では周囲の植生に悪影響を与えないよう、なるべく淡水であることが望まれます。

 ところが日本の湖沼を見渡してみると、大型の飛行艇であるUS-2が安全に離着水できるような広い湖は数えるほどしかありません。せっかくの高性能を持て余してしまう可能性が高いのです。

【青くない!】これが「US-2消防飛行艇」です(写真で見る)

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  3. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号