日本が誇る飛行艇「US-2」なぜ空中消火に使わない? 過去にはテストまでしたのに… “最大の壁”とは
山林火災が多発する季節。海外では飛行艇や改造飛行機が空中消火で活躍しています。一方で、なぜ日本の飛行艇「US-2」は消防機として使われないのでしょうか。そこには日本の山火事に潜む “特殊すぎる事情” が影響していました。
消防機の運用を阻む日本の山林火災の特殊事情
US-2を消防飛行艇とすること以外にも、通常の輸送機に空中消火キットを積み込んで消防機とする方法があります。ロシア軍やアメリカ軍では、輸送機に搭載する空中消火キットが存在し、Il-76輸送機やC-130輸送機などが山林火災の消火活動に活躍しています。
アメリカ軍が採用しているものは「モジュラー型空中消防システム(Modular Aerial Fire Fighting System)」の頭文字をとって「MAFFS」と呼ばれ、タンク内に3000ガロン(約1万1300リットル)の消火剤を入れることが可能です。
また、空中消火を担当する民間会社も存在し、旅客機を改造して消火剤タンクを装備した消防機が世界各地の大規模山林火災に出動しています。
代表的なものには、DC-10の胴体下部に消火剤タンクを取り付けた10タンカー・エアキャリア社(アメリカ)の「エアタンカー(タンク容量9400ガロン=約3万5600リットル:最大放水能力約4448リットル/秒))」、ボーイング737の胴体内に消火剤タンクを装備したクールソン・アビエーション(カナダ)の「ファイアライナー(タンク容量4000ガロン=約1万5000リットル:最大放水能力8328リットル/秒)」などがあります。
しかし、これら大型の消防機は、日本の山林火災には向いていません。この記事の冒頭で「日本では」と書きましたが、実は海外における山林火災の多発シーズンは春~秋で、とくに高温と乾燥に見舞われる夏が発生のピークとなっています。外国と日本を比べると、我が国の山林火災は「特殊」なのです。
総務省消防庁や林野庁の統計データによると、日本の山林火災は6割ほどが「人為的な失火」が原因とされています。焚き火やタバコの火の不始末、さらには野焼きの炎が想定より大きく燃え広がってしまうケースが多く、海外のような高温や乾燥、落雷などによる自然発火は「まれなこと」だといいます。





コメント