なぜ今さら「F-15」を爆買い!? 米空軍が最新ステルス機F-35ではなく“非ステルス機”を倍増させる切実なワケ
米空軍が新型戦闘機F-15EXの調達数を267機へ倍増させます。ステルス全盛の時代に、なぜ基本設計が古い非ステルス機を“爆買い”するのでしょうか。じつはF-35などにはない能力を持っているようです。
F-22やF-35にはない「F-15EX」ならではの能力とは?
他方で現在アメリカ空軍は、年間100機に迫るペースでF-35A「ライトニングII」の導入を進めています。F-35Aはステルス性に優れ、F-15Eとの空中戦ではほぼ完封に近い成績を上げていることが知られています。それなのに何故今さらF-15EXを新たに導入するのでしょうか。
この決定の背景には、現代航空戦における任務の多様性への要求が挙げられます。ステルス性を中核とするF-22やF-35のような機体は、敵防空網の突破という点で比類なき能力を発揮します。
とはいえ、すべての任務がステルスを必要とするわけではありません。むしろ、敵防空圏外からの長時間警戒や、大量の目標に対する持続的対処といった任務においては、別種の性能が求められます。
F-15EXの本質的価値は、まさにそこにあります。機体サイズが大きいことで燃料も豊富に搭載できるため、これにより長大な航続距離と滞空時間を保証し、広域防空や遠距離展開において圧倒的な柔軟性を提供します。また、機外搭載能力の高さは、出撃回数あたりの火力密度を飛躍的に高めます。これは特に、近年顕著となっている巡航ミサイルや無人機の飽和攻撃への対処において決定的な優位性を意味します。
現代の脅威環境では、安価かつ大量に投入されるドローンや巡航ミサイルが、防空システムに対して「量の暴力」を仕掛けてきます。このような状況下では、一機あたりの搭載弾数が多い戦闘機こそが、持続的迎撃能力を担保する要となります。
F-15EXは、現状において最大12発の空対空ミサイルを搭載可能であり、これを20発以上に拡張する計画案もあります。その「弾薬庫」としての性格は、ステルス戦闘機には代替しがたい価値をもたらしています。
最初のF-15が初飛行したのは1972年であるため、そこだけ見ると既に半世紀前に生まれた旧式機といえるでしょう。しかし、余裕を持った大きな機体であることが何より、なおも第一線で求められる理由なのも、また間違いないのです。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





空自にもF15EXの導入は考えられないものなのかな?