手軽にトラックをワイヤレス充電! ドライバーの声を反映した、三菱ふそうトラック・バスの実証実験とは

三菱ふそうトラック・バスは名鉄トラックターミナル中部において、小型EVトラックを用いた停車中ワイヤレス充電の実証実験を行っています。特筆すべきは、物流拠点で行われる実運用型である点。2026年5月12日、その様子を取材しました。

今後、ワイヤレス充電は高速道路にも普及する?

 興味深いのは、この設計思想です。当初はより複雑な誘導設備も検討されていたものの、プロドライバーから過剰だとのフィードバックがあり、シンプルな構成へ改良されたといいます。つまり、今回の実証は単なる技術検証ではなく、「物流現場が受け入れられるUI(ユーザーインターフェース)とは何か」という検討でもあるわけです。

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充電設備との「位置ずれ」防止のため、車輪止め、ガイドライン、駐車サポートカメラの3層の誘導システムを採用する(乗りものニュース編集部撮影)

 充電方式にはダイヘン製の磁界共鳴方式が採用されました。85kHz高周波交流を用い、コイル間ギャップを確保しながら非接触給電を行います。スマートフォンなどで一般的な電磁誘導方式に比べ、大電力かつ長距離伝送に適している点が特徴です。

 車両側は、既存の急速充電器と普通充電器に加え、ワイヤレス充電器を追加した3方式対応。制御には既存CHAdeMOプロトコルを流用しており、既存インフラとの親和性も意識されています。

 また、安全性も重要な検証テーマです。受電コイル周辺では誘導加熱リスクがあるため、専用保護カバーが装着されています。漏えい磁界に対しても、停車中ワイヤレス充電の国際標準規格を下回るレベルに抑えられています。

 ところで、ワイヤレス充電は今後どのようになっていくでしょうか。実証実験を共同実施している三菱総合研究所は、停車中給電を段階的に普及させた先に、走行中給電の社会実装をロードマップとして提示しています。高速道路や幹線道路へ設備を埋設するハード面のほか、補助金制度などソフト面での制度構築も視野に入れています。

 一方で三菱ふそうトラック・バスは、市販化や大型トラック展開については慎重な姿勢を維持しています。特にスーパーグレートなどの大型車は用途の多様性や運用条件が大きく異なり、小型車と同じアプローチが成立するとは限らないためです。それでも今回の実証実験が示すのは、EV物流の競争軸が変わり始めているという現実でしょう。

 もはや航続距離だけでなく、「いかに充電を運用へ溶け込ませるか」の研究が、今後の普及を左右するのではないでしょうか。ワイヤレス充電は単なる“ケーブルレス化”ではなく、物流オペレーション全体を再設計するインフラ技術として、次の段階へ進もうとしています。

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