米空母は全部 “端っこ” なのに、なぜ海自「いずも」は違う? 艦載機エレベーターの配置に隠された運用思想の違い
空母の甲板と格納庫を行き来する「エレベーター」。初期の空母は甲板の中央にありましたが、現代の米大型空母ではすべて舷側に配置されています。そこには、戦闘時の“ある致命的なリスク”を避ける工夫がありました。
いずも型護衛艦が「両方」を採用している理由
前述したように、先に登場したのはインボード式エレベーターです。その後、1930年代後期にアメリカがデッキサイド式エレベーターを実用化しました。デッキサイド式を最初に装備したのは空母「ワスプ」で、同艦に1基が設置されてインボード式と併用された後、量産型空母のエセックス級で、3基の航空機用エレベーターのうち1基がデッキサイド式とされました。
第二次世界大戦後には、片持ち式構造の強化や性能向上、さらに飛行甲板のアングルドデッキ(斜め飛行甲板)化などにより、エセックス級のいくつかの艦は改修時に3基中2基をデッキサイド式へと変更するようになっていきます。
一方、戦後に建造されたアメリカ空母は、すべてデッキサイド式エレベーターだけを備えるようになりました。
ただしアメリカ海軍も含めた世界各国の空母型の強襲揚陸艦や小型空母は、艦の規模が小さいことによる横揺れ対策としてインボード式のみとしたり、両者を併用したりするケースが見られます。また、艦尾のウェルドック(揚陸艇などの格納庫)への干渉を避けつつ横揺れの影響を減らすため、艦尾後端にデッキサイド式を設置しているケースもあります。
2026年5月現在、事実上の空母化改修が進められている、海上自衛隊のいずも型護衛艦も、前述したように前部にインボード式、後部にデッキサイド式を備える「併用型」となっています。
甲板のレイアウトひとつをとっても、空母の運用思想と技術の進化が見て取れるのです。
Writer: 白石 光(戦史研究家)
東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。





いずも型は、計画当初F-35の搭載予定はないとしてました。
ただ実際の設計は、搭載予定の機体サイズではなく、設計開始時点で艦上で運用可能な世界中の航空機の中で、最大サイズの航空機へ対応した形で寸法が決められてますね。
また後部が舷側エレベーターとされたのは、F-35Bが艦後部から離陸し、艦後部に着艦する運用に合わせたから。