食パン形電車はもう古い? 通勤電車の「顔」がシュッとした流線形になってきた理由
首都圏と関西圏 車両に対しても文化の違いが?
そこで、通勤形電車もより個性的にと意匠に力を入れようとしますが、21世紀の通勤形電車の形状は、メーカーがあらかじめデザインした標準車体が主流。車体を塗装すれば、無塗装でメンテナンスフリーという軽合金車体のメリットが消えてしまいますし、窓の大きさなどはおいそれと変更はできません。
そうなると鉄道会社に残された「個性を発揮できる場所」は正面形状になり、会社のイメージを形作る部位として、斜めかつ丸みを帯びた流線形のスタイルが選ばれる結果となりました。
このデザインは、たった1編成の製造に終わった営団(現・東京メトロ)06系電車などにも例がありますが、本格的に採用され始めるのは2005(平成17)年の福岡市交通局3000系電車からでしょう。その後は東急電鉄7000系電車、東京メトロ10000系電車などで登場。小田急電鉄や京王電鉄も途中駅での分割・併結運用がなくなって以降、流線形の京王5000系電車や小田急5000形がデビューしています。首都圏の通勤形電車ではちょっとした流線形ブームが巻き起こっていると言えそうです。ただし、JR東日本E235系電車や東京都交通局6500形電車のように、従来のような切妻構造で登場する例もあります。機能性を重視したなど、その形に至った理由は必ず存在します。
一方、関西圏では京都市交通局の新型20系電車のほかに、流線形の通勤形電車は全くと言ってよいほど登場していません。近鉄や阪神電鉄のように日常的に分割や併結が行われる路線であればまだうなずけますが、それを原則として行わない京阪電鉄でも切妻構造です。
関西では外見の形状よりも、速度やインテリアでサービスを競う伝統があります。外観はシックでおとなしめのものが多いものの、一歩車内に入ると深々とした座席や凝った内装など、各社の個性が感じられます。エクステリアにこだわる首都圏とインテリアにこだわる関西圏。それぞれの文化の違いでしょうか。
【了】
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
食パン顔 がちょっと前までの標準で
運用や要員合理化で分割併合を廃止したから顔が自由にできるようになった というが
京王8000のように分割併合を前提にしながら 食パンではない物 はあるし
分割併合して車両に貫通路があった場合でも幌を繋がない前提だった京王や小田急なら
分割併合=顔の自由化 とはならない
そして国鉄73型 101系 103系 東急7000 8000 8500 … といったような食パン顔 の物は両数こそ多くても系列としては少数派で
国鉄でも私鉄でも 貫通型なら111系のように後退角をつけた顔 の方が一般的で
非貫通なら 湘南型顔
なんていう時代が長く続いていたような…
輸出市場向けのショーケースなのか、発注者からの要望なのか。
九州ではH社の提案なんだか切妻の通勤電車が多いが。
J西は中間運転台に転落防止外幌をつけているから機能的ではないデザインだ。
小田急の新3000は車体前端から客室まで1870mmしかない。よく黙っているよな。
切妻だと、通過する際の風圧が強くなってしまうのでは。
京阪もここ最近(?)だと6000系だけがちらっと流線形状なフェイスにしたことがありますよ。大津線系統も600形が微妙に流線形状です。
まぁ後続製造(改造)車はまた元の切妻型に戻りましたが。