欧州戦闘機が米露とひと味違うワケ 前翼+三角翼、なぜこの組み合わせが多いのか

かくて欧州機は独特の形状へ

 一方の「ユーロファイター」ですが、1994(平成6)年には初飛行を行い2003年には引き渡しが開始されます。イギリスとスペインでは「タイフーン」とも呼ばれますが、イタリアとドイツでは第二次世界大戦で攻撃を受けたホーカー「タイフーン」を連想させるため、単に「ユーロファイター」と表記しています。

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水平尾翼を持たないスタイルの「ユーロファイター」(2016年、石津祐介撮影)。

 そしてスウェーデンでは、「グリペン」が1988(昭和63)年に初飛行を行い、1996(平成8)年には運用が開始されます。

 こうしてヨーロッパでは、アメリカやロシアの大型戦闘機とは異なる、この独特の戦闘機の形状が主流となりました。

 ただしアメリカやロシアでもカナード翼機の研究はなされており、ロシアではSu-27に通常の水平尾翼とカナード翼を備えたSu-35を実用化しています。一方のアメリカでは実験機は作られたものの、カナードがステルス性を損なうという理由で実用化はされていません。

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コメント

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3件のコメント

  1. 単純にステルス性能の概念が無かっただけだろう。
    F-15の機動性を見て”今からの時代は機動性”の考え方だったんだろうな。
    その頃には秘密裏にF-117を持っていて、高いレベルで機動性とステルス性を併せ持つ機体を作ろうとアメリカが言い出したのじゃないの?

  2. ドイツやスウェーデンなど、欧州の中小各国は自国が通常戦の戦場になるという前提を持っているのでしょう。今までも何度も戦場になってるし。北米の大国は、自国では核戦争への防空は核抑止力がメインで、通常戦力の防空は州航空隊の役割じゃなかったですか? 空軍は防空でなくて攻撃主体。自国が戦場になったのは、内戦以外では過去に無いし。

    で、要求仕様は北米と欧州とで異なって来るのが当たり前。(英仏は攻撃の比重もちょっと高いか?)

    欧州では...
    滑走路をちょっと攻撃されたら使えない様では困るから、STOL性能は重要。某大国程の財力は無いけど機数は必要だから、機体価格を抑えると共にマルチロール化で開発機種数・総機数を絞る。大出力エンジンが無くても高速・加速力・敏捷性・兵装搭載量などは必要なので、あまり大きく重い機体にはできない。こういった制約内では空力的な設計で能力を高めなければならないので、機体形状の最優先は(高額にもなる)ステルス性ではない。
    ......ほら、カナード付きデルタ翼機しか見えなくなってきたでしょ? 上コメントの「あ」さんも。

    それなりとはいえ(パックマンとか言われる)、ステルス性も盛り込んでるのだから立派だと思いますよ。特に小国スウェーデンが機体を独自開発してる事だけでもすごい事じゃないんですか。

  3. わが国にも先尾翼式戦闘機震電がありました。