扉が多い通勤電車 なぜいま消えているのか? 乗降時間短縮に効果の多扉車 しかし…

JR山手線や京阪線など、大都市圏の鉄道では混雑緩和を図るべく、ドア数の多い通勤電車「多扉車」が導入されました。輸送面では画期的でしたが、近年設置が相次ぐホームドアとの兼ね合いで、まもなく見納めとなります。

ホームドア整備に伴い消滅する多扉車

 京王帝都電鉄(現・京王電鉄)も1991(平成3)年、20m車体ながら全車両を5ドアとした6000系電車の増備車を導入しました。東急電鉄も2005(平成17)年から5000系電車に6ドア車を組み込んでいます。

 1970年代の京阪電鉄と1990年代の多扉車が異なったのは、京王6000系5ドア車を除き、多扉車が編成のすべてではなく、特に混雑する一部の車両に限定して導入されたという点です。京阪5000系のような座席格納型多扉車は車両製造コストが高く、座席切換えの手間も要するため、京阪電鉄も含めてその後、製造されることはありませんでした。

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東急田園都市線を走る5000系。もともとは6ドア車を組み込んだ編成だったが、ホームドアの整備に伴い、4ドア車に置き換えられた(2016年5月、大藤碩哉撮影)。

 2010年代に入ると多扉車に受難の時代がやってきます。ホームドアの普及です。ホームドアを設置するとホーム上の開口部が限られてしまうことから、ドアの位置が異なる多扉車に対応することができません。そのためJR山手線や東急田園都市線、東京メトロ日比谷線では、車両のドア位置を統一するために多扉車が順次、廃止されていくことになりました。

 ただ、混雑緩和のために導入した多扉車を撤去できるようになった背景には、新線の整備や湘南新宿ライン、上野東京ラインなど新たな直通運転の開始などにより、都心の通勤電車の混雑率が緩和傾向にあるということも見逃してはなりません。緊急避難的に誕生した多扉車は、その役割を終えて歴史のなかに消えていくことになったのです。

【了】

【図】明治期からの通勤電車のドア変遷

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

1件のコメント

  1. E233系は6ドア車を入れてない。

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